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ことのはぐさ

2018.04.23 弁護士 青木佳史|1型糖尿病障害年金支給停止の取消訴訟をしています


IMG_0417 1型糖尿病という病気をご存じでしょうか。

 原因不明の自己免疫異常等で、体内でインスリンを生産することができなくなり、糖代謝異常を来す疾患で、大半の方は未成年のうちに発症します。血糖コントロールが非常に難しく、高血糖・低血糖により、意識障害や昏睡などに陥る危険が常にあります。病状が進行すると、神経障害(手足の激痛・しびれ)、視覚障害、腎機能障害(人工透析)など、様々な合併症を起こします。現時点で、根本的な治療法はなく、不足するインスリンを注射器や体内に常時設置したポンプから、毎日4~5回以上補充することで生命を維持し、それが一生続くものです。いわゆる生活習慣病としてインスリンの機能低下が原因となる2型糖尿病とは、要因も病状も異なります。

 1型糖尿病は、医学的に確実な治療法はなく、根治しない病気です。そのため患者さんは、毎月平均3万円程度の重い医療費の負担と、過酷な血糖コントロールと日々闘いながら、ようやく日常生活を送っています。急に低血糖で倒れるリスクもあり、職場での注射にも理解が得られにくいこともあり、定職に就くことがむずかしく、合併症なども出ると仕事も十分にできない人が多くいます。

 

 ところが国の難病指定はされておらず、これに対する社会的な施策はほとんどありません。20歳までは小児特定疾患として医療費助成があるのですが、成人後にはなくなります。障害基礎年金2級を受けることができた患者さんだけが経済的支援を受けることができ、唯一、自立した生活をおくるための経済的保障となっていました。

 ところが、平成28年12月、大阪に住む患者を中心とした患者会「近畿つぼみの会」では、数年に一度実施される、病状を確認するための障害状態確認届を提出したところ、その大半にあたる34名が、何の理由も示されないまま、しかも病状に何の変化もないのに、障害等級2級の状態に該当しなくなったとして、突然、一斉に障害年金支給を停止される事態が起きました。

 このうち勇気ある10名が審査請求を行ないました。そのうち1名は、病状や生活の支障に変わりはないとして支給の復活がなされましたが、別の審査官が担当した9名は棄却となりました。この問題は全国の1型糖尿病患者に関わる重大な問題であるとして、その9名は、昨年11月20日、大阪地方裁判所に、厚労省を相手として、年金の支給停止の取消を求める裁判を提訴しました。

 治療法がない1型糖尿病は、努力して血糖コントロールをしていますが、それでも様々な症状が出てしまい、何らの症状改善される事情が一切ないにも関わらず、具体的な根拠も示されずに支給が停止されるのは、国民年金法に反する違法があるとして、処分の取り消しを求めています。

 

 この裁判のため35名の弁護団が結成され、大阪、兵庫、和歌山などを中心とした障害福祉や1型糖尿病に関心の高い弁護士たちが集まりました。私は副団長としてとりまとめに努めています。

 提訴にあたっては、関西エリアのマスコミは高い関心をもって報道いただき、テレビや新聞でごらんになった方も多いと思います。サンデー毎日には、斎藤貴男記者が特集の記事を書いていただきました。

準 備の過程で私も初めて病態のことなどを学びましたが、1型糖尿病のことはなかなか知られておらず、まだまだ社会で支えていくべきであるという認識がないことを実感しました。

 この訴訟を通じて、原告の皆さんの救済とともに、全国の1型糖尿病の患者さんが安心して生活を送れる保障を求めていきたいと思います。

 第1回の裁判は2月23日に大阪地方裁判所大法廷で実施され、傍聴人で一杯になりました。第2回は、6月1日11時から、同じ大阪地方裁判所202号大法廷で実施されますので、傍聴は自由ですし、終了後には報告集会を行いますので、ぜひこの訴訟の応援をよろしくお願いします。


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