相談事例

契約交渉・契約書のチェック

【取引先との契約書の見直し】

 最近、得意先からの支払いが遅れるようになってきました。未払金の支払い交渉に当たって、契約書の見直しをしておきたい。

 実際に支払いが無くなってからでは、債権の回収も難しいことが多いものです。商売上の取引では手形決済されることが多く、何ヶ月も先に決済日が設定されていると、その間に未回収債権が膨れていくことになります。継続的な取引関係であれば、なおのこと、一定の損切りをしてでも、支払いサイトを短くしたり、商品の提供条件を限定するなど、契約書の見直しをしてリスク回避をしておかれてはどうでしょうか。

【取引先が契約書を作成に協力してくれないとき】

 取引先が契約書を作ってくれません。どうしたらいいでしょうか?

 ひとつは、契約内容を書面にまとめて、取引先のしかるべき地位の人に押印をもらうことが考えられます。書面に残しておく内容としては、受発注の方法や納品・検品の方法、代金の支払方法、支払時期、代金額の決定方法、契約期間、契約更新の有無など最低限の事項を書面に書いておくとよいでしょう。このような書面を残しておくと契約内容を示す大きな証拠となります。

 また、取引先の押印がもらえない場合でも、取引先に送る文書(受発注書や見積書)に上記のような事項を記載しておくと一定の証拠にはなります。

【不利な契約を押しつけられたら】

取引相手からから採算のとれない契約を押しつけられ困っています。なんとかならないでしょうか。

 採算がとれないのですから取引を断るのが原則となるでしょう。それでも「押しつけられる」ということは、ストレートには断りづらい事情があるということですね。ひとつの便法は、自分以外の事情で、断ることが考えられます。税理士や金融機関の指導等、外在的な事情があれば、そのような説明をしてはいかがでしょうか。
 すでに契約を行っている場合には、更新の時期が来たときに、条件の変更を提案する、条件変更がお願いできない場合には、更新が難しいことを説明し、契約関係を終了させることも考えられます。
 このような取引の場合は、契約条件が悪いだけではなく、契約した代金自体も支払われない例が見かけられます。担保権を設定することや、契約書を公正証書にするなど、回収を図る手段をとることが重要です。それにより、代金の回収を図ることができると同時に、力関係を利用して代金の不払いをしようとする取引先との関係を絶つ方法にもなります。

【継続的な取引と契約書の作成】

 取引先と、同じ内容の取引を繰り返すことになっています。それぞれの取引について契約書を作るのは大変ですし、契約書なしに取引をしたときには困ってしまいます。何かいい方法はないでしょうか。

 継続的取引基本契約書を作成することをおすすめします。
 契約書のひな形はインターネットで簡単にとることができますが、以下の点に留意してください。
   第1に、契約書が、両者の取引の基本契約であることを示し、基本契約に定めた内容で個別の取引をすることを明らかにします。
   第2に、契約の重要事項、具体的には、取引の目的物・内容の特定、取引の対象の商品の検査の方法、商品に瑕疵があった場合の処理(責任を追及できる事項の特定、期間、費用等)、代金支払方法(締め日、支払日等の設定)、契約期間、契約期間中に解約ができる事由等を定めます。
   契約期間が満了となる時期には、継続して取引をするかどうか、継続取引をするとして契約内容は今まで通りでよいのか、等を検討し、継続して取引をする際には、再度、基本契約をすることがよいでしょう。
   このような契約書を作成することにより、無駄な紛争を避けることができますし、自分の経営を見直すきっかけにもなります。

【継続的取引の解除】

 取引基本契約に基づいて継続的な取引を継続してきましたが、取引先から急に契約の打ち切り・解除を主張されました。在庫を抱え、他への転売もままなりません。なんとか契約の解除の効果を争えませんか。

 結論としては、一定の要件があれば、契約解除の効果を争える可能性があります。現代の取引では、継続的な物品供給契約、代理店契約、フランチャイズ契約などのように、取引関係が長期間にわたる契約が多数存在しています。質問の場合もこのような継続契約についての解約の問題です。継続契約については、事情変更により、契約を打ち切りたいとの要請と、継続契約に、設備、資金を投資し、在庫が存在するなどの理由から契約を継続したいとの要請が衝突することになりまる。その問題が、継続契約の解約の有効性の問題として現れます。
 このような継続的契約の解約については、裁判所において争われることがあり、多数の裁判例が存在しています。以下、①契約において期間の定めがない場合、②期間の定めがある場合に分けて、説明します。
1 期間の定めがない場合の解約
    期間の定めがない場合、契約の両当事者で解約の合意をすることにより契約は終了することになります。問題となるのは、契約当事者の一方が解約の申し入れをした場合です。この場合、契約を終了させることができるか。
    裁判例には、①原則として解約が可能であるとしながら、直ちに解約することは許されず、予告期間を要求するなどの制約を設けるもの、②原則として解約は不可能であるとしながら、継続的な契約関係を困難にするような重大な事由がある場合等には解約を認めるものがあります。もっとも、②の裁判例にも、相当の予告期間を設けたり相当の損害賠償がされている場合には解約を認めるものもあります。従って、①と②の間には大きな差はありません。
    結局は、契約の趣旨・目的、契約締結から解約申し入れまでの期間、解約の理由、予告期間等を総合的に判断し、一定の期間の利益に相当する損害賠償金の支払いを前提として、解約が認められる可能性があります。

 

2 期間の定めがある場合の解約
    この場合は、期間の満了によって契約が終了することが原則となります。もちろん、当事者が契約を更新する合意をしたときは、契約は終了せず、更新されます。
    しかし、当事者の一方が相手方に更新の申し出をしても、相手方はそれを拒絶して、期間満了により契約は終了するのが原則です。そのような場合に、更新拒絶が否定される場合があるかどうかが問題となります。
    裁判例では、①更新拒絶が公序良俗や信義則に反する等の特段の事情がない限り、更新拒絶をすることができ、期間満了により契約が終了するとするものと、②更新を拒絶するには、信頼関係の破壊等の契約継続ができない「やむを得ない事由」が必要であるとするものがあります。いずれの場合も、一定の事情が存在する場合には、一方当事者が更新拒絶ができない可能性を認めています。
    従って、この場合も、期間の定めがない場合の処理と同様に、契約の趣旨・目的、契約締結から解約申し入れまでの期間、解約理由、予告期間等を総合的に判断することになります。

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