きづがわ瓦版

ことのはぐさ

2019.02.14 弁護士 岩田研二郎|ある建設労災事件の解決


 ある建設現場での労災による損害賠償事件が解決しました。
 ビル建築現場では鉄骨組み上げに続いて足場が組まれます。その足場業者の従業員が仕事中に落下して負傷し重大な後遺障害が残った事件を担当しました。
 通常、足場組立に使う足場材やパイプは、クレーンで吊り上げて各階に引き込んでおきます。しかし、鉄骨が組みあがったばかりでは床ができていないので、床面としてデッキプレートという鉄板を鉄骨に敷いたうえで鉄骨に溶接固定してはじめて各階での引き込み作業が許されるのです。ところが、この従業員は、上司から、仕事の遅れを取り返すために、デッキプレートが一部溶接固定していない危険箇所のある階での足場材引き込み作業を指示され作業中に、溶接固定していない箇所にうっかり足がかかって、プレートがずれ落ちて身体ごと階下に落下して負傷したという事故でした。
 事故後、社長から、事故の真相を元請に知られたらお咎めにあうとのことから、階段で足を踏み外した事故と偽装するよう指示されましたが、労災認定後に解雇されたことから、相談に来られました。
 事故偽装は明らかでしたが、下請けの社長が否認するおそれもあり、ごまかしのきかないよう、社長が事故偽装を認めている録音テープを反訳して、訴状に社長の発言を詳細に記載しました。案の定、答弁書では、落下場所は認めたものの事故の場面は誰も見ていないと不合理な弁解に終始しました。
 また当日墜落防止ネットがはずされていたことがわかり、賠償能力の確保の観点からも、現場の安全作業環境を保持する責任のある元請会社も被告として責任を追及しました。
 当初は、原告側には、図面ひとつの資料もなく、裁判官にわかってもらうために、足場材の梱包状況やデッキプレートの敷設状況などの写真もネットで探すなど事故状況の再現に苦労しました。
 しかし、訴訟で施工図面などの開示を元請に求めて少しずつ事故状況が具体的になると、下請け会社の弁解の不合理も明らかになっていきました。弁論準備期日での裁判長の下請けの上司への質問で下請けの過失を理解してくれてことが分かり、また墜落防止ネットがはずされているのを放置していた元請の責任が明らかとなっていく中で、訴訟の長期化を避けたい元請会社が賠償を行うとの意向を示したことから和解交渉が進み、裁判所の適切な和解案が示されて無事に満足のいく和解が成立しました。
 当事者の悔しい思いを受け止めて、地道に事実と証拠を積み重ねることで、責任を認めさせることができたものと思います。


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