ことのはぐさ

2011.05.02 弁護士 古本剛之 | イナックスメンテナンス事件 最高裁で逆転勝訴!


  (2011年2月17日の記事「イナックスメンテナンス事件 最高裁が弁論を開くことを決定!」の続報です)

 イナックスメンテナンス事件について、3月29日に最高裁の弁論が開かれ、4月12日に判決が出されました。
最高裁は、高裁判決を取消し、CEを労働組合法上の「労働者」と認め、団体交渉権を認める結果となりました。
最高裁は、労働者性の判断について、契約書の形式だけに捕らわれずに、実質的に判断しました。CEが不可欠な労働力として会社組織に組み入れられていること、契約内容が会社によって一方的に決められていること、実質的な指揮監督、時間的場所的拘束があったことなどを挙げて、CEが労働組合法上の「労働者」 にあたると判断したのです。なお、田原裁判官の補足意見では、「CEが労働組合法上の労働者に該当することは明らかであって、それを否定する余地はない」 とまで述べられています。

 ところで、労働組合法上の「労働者」に当たるか否かついて、実質的に判断するべきということは示されていますが、その判断基準などは示されませんでした。この点、判断基準が示されれば、それをすり抜ける脱法的な手法を探ろうと考える使用者(会社)が出てくることが予想されますので、むしろ示されない方がいいのかもしれません。

 この最高裁判決によって、6年以上にわたって争われてきたCEの団体交渉権が明確に認められました。CEはこれから、会社との団体交渉によって、労働条件の改善、地位向上を求めていくことになります。会社は、これまで団体交渉を拒否し続けてきたことを真摯に反省し、団体交渉に誠実に対応するべきでしょう。


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