きづがわ瓦版

ことのはぐさ

2011.02.01 弁護士 森信雄 | ミステリーの効用


  例年この時期になると、前年度に刊行されたミステリーのランキングが発表される。

  週刊文春ベスト10に入った「ラストチャイルド」のジョン・ハートは巧みなストーリーテリングが、「沼地の記憶」のトマス・H・クックは人間の哀しさ、心の闇をえぐり出す抑制の利いた描写がそれぞれ魅力的な作家である。
  そして、ベスト10には入らなかったが「五番目の女」のスウェーデン人作家ヘニング・マンケルも特に好きな作家の一人である。
  クルト・ヴァランダー警部シリーズは「殺人者の顔」、「リガの犬たち」、「白い雌ライオン」、「笑う男」、「目くらましの道」そして「五番目の女」が翻訳されているが、いずれも力作揃いである。
  人物造形、心理描写に優れ、中年の警部がときに生活の疲労感を覚えながらも正義感につき動かされ、地道な犯罪捜査を進めていくうちに次々と事実が明らかになっていく過程は実に読み応えがある。しかも、どの作品も、1990年代のスウェーデン社会が抱える様々な問題、たとえば、移民問題、バルト三国に対する外交政策、南アフリカへの関与等の社会問題を基盤にしており、それが物語に広がりと重厚さを与えている。「社会派警察小説」の白眉と言ってよかろう。

  弁護士の本分は、顧客に対し良質な法的サービスを提供することにあるから、専門的知識や技術が必要なのは当然として、ときに人に対する洞察力も求められる。
  ミステリーを含む小説を多く読むことは癒しを求める趣味であるが、結果として洞察力を養うという効用もあるのではなかろうか。


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