2026.09.25
弁護士 冨田真平
大学の非常勤講師は労働者! ~大阪大学非常勤講師雇止め事件 大阪高裁逆転勝訴~
大阪大学で働いてた非常勤講師が大学から労働者ではないと言われて雇止めをされた事件で、2026年5月15日、大阪高裁は、非常勤講師が労働者であることを認め原告らの請求を認める判決を出しました。
1 大阪大学では多くの非常勤講師が働いており、大学の授業科目の多くを担っています。そのため、非常勤講師無しでは大学教育が成り立たない状況にあります。しかし、他方で従前大学は非常勤講師が労働者ではないと取り扱っていました。
その後、文科省などの調査・指導などもあり、大阪大学では2022年4月から非常勤講師の大部分が労働者として扱われることになりました。しかし、大学側は、依然として2022年3月末までは労働者ではなかったと主張し、無期転換なども認めませんでした。
そして、大阪大学は、2023年3月末に10年以上勤務していた非常勤講師約100名を全員雇止めにしました。
2 このような雇止めにあった非常勤講師のうち、4名の方が立ち上がって原告となり大阪大学相手に無期転換により無期雇用になっていることの確認や賃金の支払いを求めて裁判を起こしました。
しかし、一審の大阪地裁は、大学側の主張通り2022年3月末までは原告ら非常勤講師は労働者ではなかったとして原告らの請求を認めないという判決を出しました。これに対して原告らは控訴しました。
そして、大阪高裁は、一審の大阪地裁の判決を取り消して原告らの請求を認める判決を出しました。この判決では、原告らがどのような働き方をしていたかについて詳細な認定を行った上で、大学が原告ら非常勤講師を指揮監督していたことをきちんと認めて、原告らが労働者であることを認めました。
3 非常勤講師の方の多くは、1コマあたりの時給制で、一つの大学での給料では生活ができず、いろいろな大学での授業を掛け持ちしたりアルバイトをしたりして生計を立てている方が少なくありません。さらに、契約期間は半年か1年でありそのたびに雇止めされるかもしれない不安定な立場に置かれています。
そのような中で大阪大学では労働者であることすら認められずに、労働者としての当たり前の権利すら認められない状況にありました。実際に大阪大学の雇止めにあった非常勤講師のうち、声を挙げることができたのはわずかで、多くの非常勤講師は自分たちに何ら非がないにもかかわらず職を奪われ声をあげることすらできませんでした。
今回の判決は、大阪大学の非常勤講師が労働者であることを認め、労働者のあたる前の権利を認める判決でした。大学教育において大切な役割を果たしているにもかかわらず、その職責に見合わない不安定な雇用・低い待遇にある非常勤講師の方がせめて労働者としての当たり前の権利が行使できるように、引き続き最高裁でも頑張ります。
