相談事例

離婚

【婚約の破棄】

 実は私の息子が、ようやく結婚してホッとしていたんですが、式から2週間くらいでまだ籍も入れないうちに、うまくいかないから話し合って別れることにしたというのです。このような場合、結納金として納めたお金はどうなるのでしょうか?

   息子さんの場合、まだ籍を入れていませんでしたから、法律上は「婚約の解消」ということになります。結納金は、婚姻することを条件として、妻側に贈与したお金ですので、婚姻が成立しなかった場合には、原則として全額返還されなければなりません。
 ただし、夫側に婚約破棄につき責任がある場合には、その返還を求めることは認められません。 

 

 一方、婚姻届を出した場合には、その後よほど短期間で別れてしまい婚姻生活の実態が認められない場合を除いては、結納金の返還は認められません。

 

 反対に、婚姻届を出していなくても、事実上の婚姻生活が相当期間続けば、内縁関係は成立したものとして、結納金の返還が認められないこともあります。息子さんの場合、別れる経緯を詳しく確認する必要がありますが、まず結納金の返還を求めることはできるでしょう。

【離婚の時の問題点】

 離婚のときにどんなことが問題になってくるのでしょうか。

 離婚の際には、①財産分与、②慰謝料、③未成年の子の親権、④未成年の子を養育する場合の養育費、⑤年金分割、⑥離婚が成立するまでの間の婚姻費用の請求権などが問題になります。

 

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【離婚手続】

 配偶者が離婚届を書いてくれません。離婚に伴う問題を解決するには、今後、どのような手続きを踏めばいいのでしょうか。

 離婚が成立するのは①夫婦が離婚に合意する場合、②裁判で離婚する場合の2つになります。
   相手方が、離婚に応じる場合は、離婚届を役所に提出することで離婚が成立します(①)。
   相手方が、離婚に応じない場合、裁判での離婚を模索することになりますが、裁判での離婚には家事調停(②-1)と訴訟(②-2)の二つの手続があります。
    原則としてすぐに訴訟(②-2)を起こすことはできません。調停前置といって、まずは家庭裁判所に離婚調停(②-1)を起こす必要があります。離婚調停(②-1)は、裁判所の調停委員を中に入れて、双方の話し合いで解決を図る手続です。しかし、当事者が直接顔を合わせて話をすれば、ケンカになってしまう可能性が高いので、調停委員に対して双方が交互に自己の言い分を述べ、妥協点を探っていきます。また、DV事案などの場合には、身の安全を確保するための対策も取られますので、ご安心下さい。ただし、調停はあくまでも話し合いの場ですので、相手方が出頭しなかったり、お互いに妥協ができなかった場合には、調停は不成立となります。
    調停(②-1)でも離婚の合意がされない場合は、離婚を求める側が離婚訴訟(②-2)を起こすことになります。離婚訴訟で離婚判決が認められる理由は以下の5つです(民法770条)。
    ①不貞行為(浮気・不倫)
    ②悪意の遺棄
    ③3年以上の生死不明
    ④相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
    ⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由

 訴訟(②-2)では、離婚、財産分与、慰謝料、子どもの親権、養育費、年金分割など当事者双方が争いになっている点について主張立証をつくしていきますが、手続の中で和解が成立することもあります。しかし、そこでも話し合いが付かないようであれば、最終的には裁判官が判決によって判断を下すことになります。

【離婚手続の流れ】

 離婚手続の流れについて教えてください。

 離婚手続の流れは以下のとおりです。

 (画像クリックでPDFファイル)

離婚手続の流れ-きづがわ共同法律事務所

【離婚原因】

 法律上、離婚が認められる事情が決まっていると聞きましたが、具体的にはどのような場合に認められるのでしょうか。

 離婚訴訟で離婚判決が認められる理由は以下の5つです(民法770条)。
    ①不貞行為(浮気・不倫)
    ②悪意の遺棄
    ③3年以上の生死不明
    ④相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
    ⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由

 そこで、以下その内容について解説します。


                          (不貞行為について)
 浮気・不倫は、その典型です。相手方が配偶者以外の者と性的関係を結んだ場合、離婚が認められる可能性があります。逆に、離婚を求める側に不貞行為がある場合、離婚は制限される方向に左右します。
  相手方の合意のない強姦も含まれます(最高裁S48/11/15判決)。


                          (悪意の遺棄について)
  これは正当な理由なく同居・協力・扶助義務を尽くさない場合ですので、たとえば、妻に収入がなく子供もいるのに、夫が家を出て生活費も払わないような場合には、「悪意の遺棄」として、妻からの離婚申し出の理由となる可能性があります。
   ただし、遺棄には「正当な理由」が存在しないことが必要ですので、別居をした経過や、別居中の援助等の事情により「悪意の遺棄」に当たらないとした判例があります(最高裁S39/9/17判決)。
 
                          (3年以上の生死不明)

   相手が、3年以上「生きているか死んでいるのかわからない」場合には、離婚できる場合があります。生存も死亡も証明出来ないということですので、単に別居しているだけで離婚理由になるわけではありません。
   なお、失踪宣告の期間(原則7年)より短期間で婚姻の解消が認められることになりますが、法律効果に違うところもありますので手続選択の際には一度ご相談下さい。
   
          (相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと)
   相手が、正常な結婚生活の継続が期待できない程度の「強度の精神病」にかかっていることが要件です。病状がどの程度継続するかについては決められていませんが、病気の性質上、相当の期間、治療を継続してみないと「回復の見込みがない」かどうかの判断ができないため、病状が相当期間続くことが要件となります。
   しかし、夫婦には扶助義務がありますし、病気だからといって直ちに離婚を認めるのは相当ではありません。この点、最高裁は、「民法は単に夫婦の一方が不治の精神病にかかった一事をもって直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと解すべきではなく、・・・、配偶者の今後の療養、生活等についてできる限りの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込みのついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当」と判断しています(最高裁S33/7/25判決)。
   そこで、配偶者の精神病が回復しがたい重度のものでも、ただそれだけで離婚が認められるとは限りません。①離婚に伴い療養・生活費に見合う財産分与がなされるか、②近親者その他の者による病者の引き取り体制があるか、③離婚を求める側が、離婚後の病者の生活に協力するか、などの事情を見て、判断されることになります。

                  (その他婚姻を継続しがたい重大な事由)
   以上のような事情が認められない場合でも、結婚を継続しがたい重大な事情がある場合、つまり婚姻関係が破綻し回復の見込みがないと評価しうる場合には、離婚理由となる可能性があります。具体例としては、暴行・虐待(いわゆるDV)、重大な侮辱、家庭の放置、配偶者の親族との不和、性格の不一致、性生活の異常、疾病・身体障害など、様々な事情があり、それらの事情を総合的に評価していきます。
   夫婦の折り合いが悪く、それが別居に発展し、別居が長期間に及んで婚姻関係が破綻し回復の見込みがないと評価できる場合には、離婚理由ありとして裁判上離婚が認められる場合があります。「5年別居すれば離婚できますか?」などと聞かれることがありますが、法律で別居期間が決められているわけではありません。別居を破綻と評価出来るか否かは同居期間との対比も重要ですし、判例は別居期間だけではなく別居に至った理由、交渉経過なども総合考慮して判断しているようです。

【離婚に伴う慰謝料請求】

 離婚の際に、慰謝料が請求できるのは、どんな場合ですか?

 相手方の有責な行為が主たる原因となって離婚に至った場合には、その精神的な苦痛に対して慰謝料を請求することができます。
 有責行為とは、通常、暴力や虐待などのほか、不貞行為や生活費の不払いなど、婚姻上の義務に違反する行為も含まれます。離婚の原因が、夫婦の性格の不一致など、必ずしもどちらかが有責とはいえない場合は、慰謝料を請求することはできません。

【離婚に伴う財産分与】

 離婚を考えていますが、ほとんどが相手方名義になっています。財産分与の対象になるのは、どのような財産ですか。

 財産分与の対象になるのは、夫婦の共有財産及び実質的共有財産であるとされています。どちらの名義になっているかというより夫婦が共同して築いてきた財産と評価できるかです。妻が専業主婦であったとしても結婚以前に貯蓄されたと評価されるものでない限り、基本的に財産分与の対象になると考えるべきでしょう。
 ただ、財産分与に関しては、これ以外にも財産の判断基準時やローンの処理、将来の退職金問題等、争点が多岐にわたりますので、軽々に判断されず、個別に相談される方がよいでしょう。

【財産分与と住宅ローン】

 離婚するので、夫名義で購入したマンションを財産分与として自分の名義にしたいのですが、夫名義の住宅ローンが残っていても、取得できるでしょうか。

 夫婦間で財産分与の対象とすることはできます。ただし、住宅ローンが残っている場合は、抵当権が設定されているので、離婚後のローンの支払状況等によっては住宅を失うおそれもあります。
 ローンの借り換えをしない限り、住宅ローンの債務者は元夫であり、その返済を怠れば抵当権実行により競売となり、家を失うことになります。
 なお、住宅ローンの約款により、住宅の名義を変更することがローンの期限の利益喪失事由(直ちに一括で残債務を支払わなければならない)となっている場合もあるので、債権者の承諾なく名義を変更できない場合もあるので、注意してください。

 

→【解決事例はこちら】

【離婚に伴う氏の変更】

 夫と離婚した場合、私の名字(姓)は旧姓にもどるのでしょうか。私が親権者となりましたが、子どもの姓と食い違うのは避けたいのですが。

 結婚に際して夫婦の姓として夫の姓を選んでいた場合は、妻は離婚によって旧姓にもどるのが原則です。「A山太郎」と「B川花子」が結婚して「A山太郎・花子夫妻」となり、子ども「A山次郎」がいる場合を例にとります。
 離婚によって、妻は「B川花子」に戻り、子どもは「A山次郎」のままです。子どもの姓と同じにしたい場合は、二つの方法があります。

 

①一つ目は母子とも「B川」になる場合です。これは離婚後、息子次郎の姓を「A山」から「B川」に変更する「子の氏の変更」申立を家庭裁判所にします。
②二つ目は、母子ともに「A山」に統一する場合で、このときは離婚と同時か、又は妻が離婚から3ケ月以内に「A山」の名を名乗り続ける旨の届けを役所に出します。その場合、子の次郎を夫の戸籍から、妻の戸籍にうつすには、①と同じ「子の氏の変更」申立を家庭裁判所にします。

【離婚に伴う年金分割】

 離婚時に年金を分割することができると聞きましたがどのような制度ですか?

 年金は基礎年金部分と厚生年金や共済年金といった報酬比例部分に分けることが出来ます。基礎年金しかない国民年金の方は離婚の有無で将来の受給年金額に違いはありません。しかし、厚生年金や共済年金の報酬比例部分がある方の場合、将来の受給年金額が支払実績によって決まってきます。

 後者の事例で、夫婦の一方が他方の被扶養者ということにして年金を支払っている場合、扶養者の側で多くを支払っているため、そのまま離婚すると被扶養者となっている人は将来の受領額が少なくなってしまいます。そこで、平成19年4月1日以降の離婚については、双方の合意、あるいは裁判所の決定により、婚姻期間(内縁関係を含む)中の「厚生年金」「共済年金」の支払実績(標準報酬月額等)を分割できることになりました。もっとも、平成20年4月1日以降に結婚した方の場合には、3合分割といって、合意や裁判所の決定によらなくても一方当事者が離婚した事実が分かる書類と共に年金事務所に分割を請求すれば、自動的に「厚生年金」「共済年金」の支払実績(標準報酬月額等)を分割してくれます。年金分割の請求は離婚後2年以内にしなければなりませんので、忘れないように十分注意しましょう。


 ただ、いわゆる企業年金はこの法律によって直ちに分割されるわけではありませんので、別途合意をする必要があります。

【離婚と面会交流】

 私の浮気が原因で、妻は3歳の子どもを連れて実家に帰り、現在、離婚の調停をしています。
親権は妻に譲ってもいいと考えていますが、今後子どもと定期的に会いたいと申し入れています。ところが、妻は「あなたのような人間に子どもを会わせるわけはいかない。」と反対しています。
 私の言い分は通らないのでしょうか。

 離婚の原因があなたにあるにせよ、子どもの健やかな成長のためには親との交流が不可欠であることは一般的に承認されており(大阪家庭裁判所では、そのことを説明したビデオを親が観るようアドバイスしています。)、あなたは、「子の監護に関する処分」の一つとして、子どもとの面接交流を求めることができます。
   ただ、実際問題として、あなたが子どもと会うには妻の協力が不可欠です。子どもが幼少の間は、日程や待ち合わせの場所などを妻との間で決める必要があるからです。通常は、調停委員が妻を粘り強く説得し、月1回程度の面接交渉を認める旨の合意をすることが多いと思います。また、どうしても合意に達しない場合は、審判を求めることも可能です。子を養育している側の面会交流拒否に正当な理由がないとされる場合、面会交流を拒否された側は損害賠償を請求することも認められています。
    ただ、面接交流が認められるかどうかの最大のポイントは、あなたと交流することが子どもの福祉に資するかどうかという点にあることに留意する必要があります。面会交流は非常に繊細な部分を持ち合わせていますので、一方の言い分のみでなく、裁判所の調査官が調査に入るなどして、「子どもの福祉」について何が妥当か判断していくことになります。

 

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【離婚と親権の付与】

 離婚することになりました。2人の子どもは私が親権者となり、この手で育てたいと思います。しかし、相手方も子どもを欲しがっており、経済力のない私には子どもの親権はとれるわけがないといいます。本当でしょうか。

 夫婦に未成年の子どもがいる場合は、離婚の際にどちらが親権者となるかを決めないといけません。話し合いがまとまらなければ、離婚訴訟をして家庭裁判所に判断してもらうことになりますが、その際、考慮されるのは、子の福祉に照らしてどちらに育てられるのが適当かということです。

 たとえば、子どもを今誰が育てているのか、どのように育てているかや、子の年齢、今後どのような養育状況が予想されるか、といったことです。経済力がない親であっても実家の支援や相手方からの養育費負担などを得て子どもを適切に養育することができるなどの事情を積み重ねていけば親権をとることは十分可能です。

【養育費支払の終期】

 離婚した夫に子どもの養育費を請求したいのですが、子どもが何歳になるまで請求できるのですか?

 法律で、何歳までという形では決められておらず「養育費の負担の期間は、未成熟な子が独立の社会人として成長・自立するまで」とされています。
 一般には20歳になるまでとされることが多いですが、民法は扶養を受ける子の年齢について規定していませんので、必ずしも20歳までには限られません。裁判所は個々のケースにおける養育費の必要性、親の資力や学歴、家庭環境などを考慮して、養育費支払いの期間を決めています。
 20歳前であっても、高校を卒業してすぐに就職し経済的に独立している場合には、養育費を支払うべき「未成熟子」には当たらず、養育費を請求することはできません。逆に、20歳を超えている場合でも、大学や専門学校に進学したために子どもが扶養を必要とする場合には、養育費を請求できることになります。

【離婚後、養育費を払ってもらえないとき】

 夫との離婚の際に私(妻)が子どもの親権者となり、夫は養育費を支払うという約束でしたが支払いが滞っています。法的にどのような手段がありますか?

 まず、養育費の合意が口頭でしかないという場合には、家庭裁判所に養育費の算出を求める調停、審判を申し立てる必要があります。
 次に、養育費の支払義務が家庭裁判所の調停調書、審判調書、判決書、執行認諾文付きの公正証書など、強制執行力のある書面により定められている場合であれば、地方裁判所に申立をし、支払義務者(夫)の財産から強制的に支払いを確保する強制執行という制度があります。強制執行ができれば、支払義務者(夫)の財産(不動産や債権など)を差し押さえることができます。給与などの定期金債権(定期的に支払われることが予定されている債権)に対しては、将来部分の養育費についての差押えも可能です。
 その他、履行勧告や履行命令といって、家庭裁判所が支払の促したり、命令をしたりする制度もあります。履行命令に従わない場合には10万円以下の過料の制裁があります。

【再婚と養育費】

 子どもの親権者である別れた妻が再婚したようです。今まで私(父)が支払っていた子どもの養育費は、妻の再婚相手に負担してもらえないのでしょうか。

 子どもと元妻の再婚相手が養子縁組をしている場合、未成熟子の扶養義務は第一次的に養親である再婚相手と元妻が負うことになります。したがって、再婚相手に資力がないなどの特段の事情がない限り、実親である貴方は扶養義務を免れることになります。

 

 他方で、子どもと再婚相手が養子縁組をしていない場合、養育費算定に当たって再婚相手の収入は原則として加味されないので、貴方は従前通り養育費の支払義務を負います。もっとも、この場合でも元妻の「再婚」の事実は、養育費の減額を相当とすべき事情変更の有無の判断に当たって考慮されるべき要素にはなります。

【別居中の子の連れ去り】

 私は配偶者と別居中なのですが、配偶者が保育所から子どもを連れて行ってしまい、返してくれません。子どもを返してもらうには、どうしたら良いでしょうか。

 子どもの引き渡しを求めるには、いくつかの手続きが考えられます。
 別居中の夫婦の場合、両方に親権があります(共同親権者)ので、「どちらがどう育てるか」(子の監護に関する処分)の問題として、家庭裁判所に 「子の引き渡しを命じる審判」を求めることになると思われます。
 審判が出るまで時間がかかりそうなら、「審判より前にひとまず子どもを引き渡せ」という命令(審判前の保全処分)を出すよう申し立てることができ、比較的早い事件解決が目指されます。いずれにせよ、すぐに行動することが大切です。

【別居と婚姻費用の分担】

 喧嘩をきっかけに家を出て別居することになりました。夫は勝手に出て行ったのだから知らないといっていますが、もともと専業主婦だった私には生活費をどうしたらいいのか途方に暮れています。

 仮に離婚を前提として別居をしていたとしても、夫婦である以上は、扶養義務があります。よって、夫に対して婚姻費用の分担を請求することができます。

 夫が応じないのであれば、家庭裁判所で婚姻費用分担調停を申し立てます。そして、調停で話し合いが付かない場合、裁判所が審判で一定の金額を認定することになります。なお、こうした問題は離婚と同時に問題になることが通常ですが、婚姻費用分担調停は離婚調停と別のものですので、離婚と共に離婚に至るまでの生活費の支払いを求めたい場合は、別途婚姻費用分担調停を起こす必要がありますので、ご注意下さい。

 

【離婚後の子どもの親権と親権者の死亡】

 夫と協議離婚するときに、妻である私を子ども達の親権者としました。
 もし、私に万が一のことがあった場合、子ども達の親権者はどうなるのでしょうか。

 親権者となった者が死亡した場合、未成年後見が開始するのが原則で、自動的に父の親権が復活するわけではありません。親権者となった者は、遺言で未成年後見人になる者を指定しておくこともできますが、この様な指定がない場合、子どもや親族その他の利害関係人が家庭裁判所に未成年後見人の選任を申し立て、裁判所が職権で選任します。
 未成年者の意向や監護状況、未成年候補者(例;妻の母)の生活状況などを考慮して子の福祉の観点から判断されます。

【DV】

 私は夫と結婚して7年になる家庭の主婦です。子どもは3才と5才です。夫は結婚後まもなくから虫の居所が悪いと私を殴ったり、蹴ったりしてきました。子どもの前でもおかまいなしです。子どもは夫を怖っています。
 私は夫を怒らせる自分が悪いのだと自分を言いきかせてきましたが、もう一緒にいることは我慢ができません。子どもと一緒に家を出たいのですが、まずは生活をしていく目途がありません。どうしたらよいでしょうか。

 夫の暴力は閉鎖社会である家庭でおこることであることから、個々人の問題と思われ勝ちです。しかし、夫から妻への暴力は世界中で問題になっています。 経済的に優位にある男性がこれを良いことに劣位にある女性に暴力を振るうことは女性の人権に対する重大な侵害であること、「犯罪」にもなることが確認され る社会になってきました。

 2001年(平成13年)4月6日、いわゆるDV法「配偶者からの暴力の防止と被害者の保護に関する法律」が成立し、国の仕組みとしてあなたのように夫の暴力で苦しむ沢山の女性を救済することになりました。
 

 生活は取りあえず各都道府県にある配偶者暴力相談支援センター(たとえばあなたが大阪府民であれば大阪府女性相談センター)などに子どもと一緒に保護 してもらえます。費用は無料です。そこには相談員がいますので、夫との関係をどうするか、夫が追いかけてきて連れ戻され、またもや暴力を受ける危険がある 時にはどうするか将来の生活設計をどうするのかを相談に乗ってくれます。

 

 身の安全を図るために保護命令の制度ができました。裁判所に申し立てをして、夫は妻であるあなたに6ヶ月間接近してはならないとの接近禁止命令を出しても らうことが出来ます。接近禁止はあなたとだけでなく子どもたちにも接近を禁じてもらうことも可能です。又、例えば身の廻り品を持ち出せないまま家を出てい る場合は2ヶ月間夫に家を退去せよとの命令を出してもらうことが出来ます。

 

 当面の生活を営みながら、夫との離婚などについて話し合いをしたり話がつかなければ家庭裁判所に調停の申立をしたり、これがまとまらなければ、離婚裁判を して決着をつけることになります。弁護士をつけたい時は無資力の人に司法支援センターが法律扶助をしてくれます。最終的には費用は免除されることもありま す。裁判所では親権をお母さんであるあなたに認めてもらい、暴力によって離婚に至らしめたのは夫でですから慰謝料の請求や、これからの子どもたちの養育料 を夫に支払ってもらう手続きをとることになります。


  住まいは大阪府女性相談センターの一時保護の後は種々の公の生活施設に子どもとの生活を移すことになります。民間の賃貸住宅に移る場合には生活費保障を内容とする生活保護を受給する道もあります。

 

 あなたの実りのある人生選択の道は開けています。じっくりと納得のいく選択をしてください。

 

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【配偶者の死亡と氏(姓)】

 私の旧姓は「佐藤」ですが、夫と結婚をして夫の姓「山田」に変わりました。子どもはおらず、夫婦二人で生活していましたが、このたび夫が病気で亡くなりました。
 そこで、実家に戻る予定ですが、元の「佐藤」姓に戻ることはできるでしょうか。
また、夫の両親との関係は当然に消滅するのでしょうか。

 離婚の場合は、「山田」姓を名乗る(婚氏続称)旨の届出を特別にしない限り、当然に「佐藤」姓に戻りますが、配偶者が死亡の場合は、役所に復氏届出をすることにより「佐藤」姓に戻ることができます(民法751条1項、戸籍法95条)。
 また、結婚により、あなたと亡くなった夫との両親との間には「姻(いん)族(ぞく)関係」という親族関係が発生していますが、それは夫の死亡により当然に消滅することはありません。しかし、役所に姻族関係終了の届出をすることにより、終了させることができます(民法728条2項、戸籍法96条)。

【離婚後の子どもとの面会】

 離婚をし、子どもは相手が親権者となって養育していますが、相手は、子どもと会わせてくれません。どうしたらいいでしょうか。

 離婚の際に、面会交流のルールを文書で決めておくことが望ましいのですが、離婚後、子どもとの面会交流の内容や方法については、父母の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には、面会を求める側は、家庭裁判所に調停又は審判の申立てをして、面会交流に関する取り決めを求めることができます。調停手続では、子どもの年齢、性別、性格、就学の有無、現在の生活の状況、今後の予定等を考えて、調停が進められます。その際、子どもに精神的な負担をかけることのないように十分配慮して、子どもの意向を尊重することが求められます。
   話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、裁判官が、一切の事情を考慮して、審判をすることになります。

【面会交流ができない場合】

 離婚の際に、面会交流の約束をきちんと取り決めたのにもかかわらず、相手は、子どもが嫌がる等の理由を挙げて会わせてくれません。子どもは嫌がっているとは思えないのですが、どうしたらいいでしょうか。損害賠償を請求することも可能でしょうか。

 正当な理由がないのに、面会交流の約束に反して片方の親が、一方の親と子どもとの面会を拒否することは許されません。面会交流の具体的な内容や方法が、裁判所の調停や審判で決まっているのであれば、裁判所の履行勧告の制度の利用や、強制執行の一種である間接強制といって面会を拒否した看護親に対して金銭的ペナルティを課す手続きが用意されています。また、面会を拒否された親から拒否した親に対して不法行為として損害賠償請求がされることもあります。

【親権者の変更、親権停止】

 離婚して、妻が子どもの親権者となりましたが、子どもをほったらかしにするなど親としての責任を果たしているように見えません。私に親権者を変更がすることは可能でしょうか。また、親権の停止と言うことを聞きますが、どういう制度でしょうか。

 親権者の変更は家庭裁判所に調停・審判を申し立てる必要がありますが、親権変更は容易には認められません。親権者の変更が認められるのは、家庭裁判所が子どもの福祉、利益のために必要があると認めたときに限られます。それだけに、離婚の際の親権者の決定はとても大切なことなのです。
   親権の変更が認めらるのは、現在の親権者が、病気等の事情で長期に渡って子どもの養育は出来なくなるなど子どもを養育する環境が著しく悪化した場合や、子どもの虐待やそれに類する事案の場合です。そのような親権の変更を相当とする事情があるかどうかを、家庭裁判所が調査します。
   多くの場合、家庭裁判所の調査官が調査を行い、現状の養育の状態、養育の熱意、経済力、環境を検討し、年齢によっては子どもの意思などをも考慮して、親権者の変更が子どもの福祉と利益のために必要かどうかを意見書を作成し、それを元に審判が下されます。
   親権者が責任を果たすことなく養育する意思が認められない場合の親権停止の申し立ては、子ども自身、一方の親や親族、検察官、児童相談所の所長などが行います。家庭裁判所の審判手続きで、最長2年間(更新も可能)、あらかじめ期限を定めて親権を停止させることができます。これが親権停止の制度です。

【親権者の死亡と未成年後見】

 私の娘は離婚し親権者となって小学生の子(私から見れば孫)を養育していましたが、病気で死んでしまいました。私が親権者のような役割を果たしたいのでが、どうしたらいいでしょうか。

 親が死亡し、未成年者に親権を行使する者がいなくなった場合などに、未成年者(未成年被後見人)の法定代理人として、未成年者の監護養育、財産管理、契約等の法律行為などを行うために、未成年後見人の制度があります。未成年後見人は、原則として親権者と同一の権利義務を持っています。
 未成年後見人を選ぶには、未成年者に対して最後に親権を行う者が遺言で指定する方法をのぞき、家庭裁判所が選任する方法によりますので、祖父母が自動的に後見人になるのではありません。
   就任した後見人は、家庭裁判所に事務報告するなど裁判所の監督のもとにおかれます。未成年者の財産を、未成年者のため以外に費消することは認められず、例えば自分の為に費消したりすることは横領行為となります。
   また、正当な理由がない限り辞職することはできないなど、未成年者の利益を守るために未成年者後見には法律上も責任が課せられています。

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