2026.07.10
弁護士 峯田和子
遺産の整理をやっています
遺産相続にあたり、分け方に争いがあるわけではないけれど、その相続手続の担い手がいないとか、安易に一部の相続人に作業を委ねるよりは、外部の専門職に費用を支払って作業を委任してしまいたい、というご相談をよく受けるようになりました。「遺産分割協議」ではなく、いわゆる「遺産整理」という分野の相談です。
人は通常ご高齢になってから亡くなられますので、相続開始時点で相続人の方もそれなりにご高齢だったり、仕事や子育てで忙しい世代だったりします。加えて、核家族化が進み、親族といえども必ずしも付き合いがあるとは限りませんので、そうした時代を反映したのかもしれません。
こうしたご依頼の場合、紛争性がありませんので、一部の相続人から着手金や報酬金といった形で費用を頂いて他の相続人らと交渉する遺産分割協議事件と違って、全相続人から純粋な手数料と実費で作業を進めていくことになります。全相続人で費用分担しますので一人あたりの負担額が大幅に軽減されますし、一部の人に事務的な負担を掛けて変に気を使ったり、逆に疑心暗鬼に苛まれたりするより、遺産の中から費用を支払ってしまって片付ける方が気が楽なのかもしれません。
「姉がちゃんとやってくれると思って遺産の整理を任せていたら、明細を見せてくれないので本当なのか、喧嘩したくないけどモヤモヤした気持ちを抱えてしまって・・・」なんてご相談も良くありますので、こうした作業を外注するのは理にかなっているのかと思います。
これまで遺産整理事件で取り扱ってきた相続財産は本当に多種多様です。預金・小銭(古銭を含む)・保険・株式・債券・投資信託などの金融商品・不動産・細かい宝飾品・還付金請求権・会員権。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産もあります。家賃・施設費、医療費、リース料、介護保険利用料、健康保険料、水光熱費、電話代・ネット利用料、NHK利用料、スポーツジム料金などなど。洋服、家財道具や残った食料品のような処分費用が発生するもの。一人の人間が亡くなったときに後に残される財産というものは、こんなに多種多様なのかと、事件に携わる度につくづく感心してしまいます。
故人がお一人暮らしだったりした場合、相続人の皆さんが必ずしも相続財産の全容を把握しているとは限りません。そうすると、不動産情報の名寄せから、金融機関調査、所持品や郵便物や引き出しにあった紙切れから調査をしたりと、さながら探偵のよう。換金作業を進めながら相続税申告が必要と見込まれる事案であれば申告時に必要な書類を収集しつつ進めていきますし、そうでない場合でも譲渡所得税の課税について見通しを立てていくなど、遺産整理事件は絡み合った情報を解きほぐして、きれいに整理整頓するという、地味でかなり根気の要る作業になっていきます。私的には、時より、簡単に現金化できない難物が出てきたりするので、これをクリアできたときの達成感たるや格別です。どう解決するのかをここで書き連ねてもマニアックすぎるので止めておきますが、正にミッションコンプリート。
相談に来られた方からは、弁護士がこのような争いのない事案で関わるのかと驚かれることがあるのですが、お気軽にご相談を頂ければ良いかと思います。
