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ホーム 弁護士コラム 2021年掲載分 子の養子縁組と養育費返還請求

弁護士コラム

COLUMN

弁護士 宮本亜紀
弁護士 宮本亜紀

2021.11.08

弁護士 宮本亜紀

子の養子縁組と養育費返還請求

2021.11.08

弁護士 宮本亜紀

子の養子縁組と養育費返還請求

 実父の養育費支払義務は、親権者母の再婚相手と子が養子縁組すると無くなるが、その時期は実父が養育費免除の調停申立をした時であるという裁判例が出ました(東京高裁令和2年3月4日決定)。

 離婚後、親権者では無くなっても実親は未成年の子に対して養育費支払義務があります。しかし、養子縁組により子に養親ができた場合は、子の扶養義務は、一次的には養親が負い、養親に金銭的余裕が無い場合に限り、二次的に実親が負担します。

 では、実父が子の養子縁組を後から知った場合、いつの時点から支払い済みの養育費の返還を求めることができるのか。この点、この裁判は第一審の裁判所が養子縁組時としたのに対し、本裁判所は、返還時期については裁判所の合理的な裁量に委ねられると判示した上で、このケースについては、

①養子縁組後、減額の調停を申し立てるまで3年5ヶ月と間が空き、返還するとしたら相当高額になってしまうため、不測の損害を与えかねないこと、

②実父は親権者母から再婚後まもなく養子縁組する予定であると聞かされていて、戸籍を調査しようと思えばできたにも関わらず、支払い続けたこと

を指摘し、養育費免除の申立をしたときであると判示しました。この事案では、実父が養育費以外に子の留学費用まで支払っていたケースで基礎となる収入も相当程度ある方でした。さすがに、調べようと思えば調べられたのに、ここまで放置してきてしまうと、子どものために支払ったのでしょうから、後から取り返すのまでは許さないという価値判断かと思います。

 いずれにせよ、一旦離婚時に定めた養育費も、本件のようにその後の事情変更によって、減額・免除の対象になり得る一方、増額を求めることもできるなど、必ずしも固定的なものではないということです。そして、変更できることを知り得るにもかかわらず、放置していると、それなりに不利益を被ることがあると思っておいてください。見直しの余地がないのか意識的に確認をして早めに弁護士に相談をされることをお勧めします。

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