2026.05.11
弁護士 古本剛之
遺言書の作り方
「遺言書って、作らないといけないのでしょうか?」「作った方がいいと聞いたけど、どうやればいいのか、よくわからない」「書いてみたけど、この内容で本当に大丈夫?」遺言書について、様々な疑問、不安をお持ちの方がおられると思います。ここでは、遺言書についての基本的なお話を書きます。

1 遺言書の種類
遺言書には、①公正証書遺言と、②自筆証書遺言の2種類があります。
①公正証書遺言
公証人に立ち会ってもらって作る遺言書です。作成に手間と時間と費用がかかりますが、その分、確実性の高いものになります。
字が書けなくなっていても、判断能力があれば、公証人が口頭で意思確認して作成することもできます。
遺言書は、公証人役場で保管されますので、紛失する心配がありません。
実際に執行する際、裁判所での検認手続きが不要で、銀行手続や登記名義変更もスムーズにおこないやすいです。
②自筆証書遺言
遺言者が1人で作成できるので、手軽で、費用もかかりません。
ただ、その分、要件を満たさないものになってしまったり、思ったような効果を得られない内容になってしまうこともあります。
本人が手書きで作成する必要がありますので(財産の内容については、パソコン等で作成した表などを利用できる部分もあります)、自分で字が書けなくてはなりません。
作成した遺言書が紛失したり、そもそも書いたことさえ知られないままになるおそれもあります。
執行する前には、裁判所での検認手続きを経る必要があります。
また、適正に作られたものなのか、作成時に遺言者に判断能力があったのか、など争いが生じることも、よくあります。
②+@ 法務局の自筆証書遺言保管制度
本人が作成した自筆証書遺言を法務局で電子データとして預かってもらうことができます。これをおこなえば、紛失のリスクはなくなります。ただし、法務局は遺言書の内容まではチェックしてくれませんので、内容に不備があっても、そのままになります。
2 どのような場合に、遺言書を作っておく方がいいか
①子がいない夫婦
例えば、夫が亡くなった場合、夫の兄弟がいれば、妻と夫の兄弟が相続人となります。それが意に沿わないこともあるでしょう。普段交流がなければ、遺産分割の協議もやりにくいことでしょう。夫の兄弟が先に亡くなっていると、甥や姪が相続人になり、連絡を取るだけでも大変になることもあります。
②相続人同士で争いになりそうな場合
遺産を巡って争いが生じることは、よくあることです。揉めないように、あらかじめ遺言書で分け方を指示しておくことができます。但し、遺留分には配慮が必要です。
③相続人がいない場合
誰も相続人がいなければ、財産は国庫に帰属することになりますので、誰かお世話になった人に渡したい等の希望があれば、遺言書を作成しておく必要があります。
3 遺言の内容
何を、誰に渡すのか、明確に記しておく必要があります。
相続手続がスムーズになるように、遺言執行者を指定しておくのがいいでしょう。
遺言書を作った方がいいのか、どのような内容にしたらいいのか、弁護士がお手伝いできますので、悩まれたら、お気軽にご相談ください。
4 遺言の保管(特に自筆証書遺言で法務局の保管制度を利用しない場合)
遺言書を作った場合、作ったこと、どこに保管してあるか、親族に教えておくことが大切です。特に、遺産を渡そうとする相手には、知らせておく方がいいでしょう。
遺言書は、作ったらそれで終わりではなく、時々、見直すことをお勧めします。銀行を変えた、不動産を処分したなど、財産の内容が変わることもあります。渡そうと思っていた相手が先に亡くなってしまうようなこともありますので、状況の変化に合わせて、書き直すことも検討すべきでしょう。
ご不明な点があれば、お気軽に当事務所にご相談ください。
