ことのはぐさ

2023.03.13 弁護士 冨田真平|フリーランスに対するセクハラについて取引先の安全配慮義務違反を認めた事例


 使用者は、従業員に対して、職場で働く中で生命身体や人格権が害されることのないよう職場環境を整える義務があります。そのような義務の一つとして、セクハラを防止し、またセクハラが生じた場合にはきちんと対応すべき義務があります。

 では、フリーランスとして働く方について、取引先の企業はこのような責任を負うのでしょうか?この点について、令和4年5月25日の東京地裁判決が実質的に取引先から指揮命令を受けて労務を提供していたフリーランスが受けたセクハラについて、取引先が職場環境配慮義務を負うとして取引先の責任を認める判決を出しました。

 この事案では、フリーランスのライターであるAさんがエステティックサロンを経営するB社から体験記事の執筆の依頼を受けたところ、B社の代表者であるCからセクシャルハラスメント及びパワーハラスメントを受けたという事案です。

 上記判決は、Cの一連の行動がセクシャルハラスメント及びパワーハラスメントに当たり、違法な行為であるとしました。その上で、Aさんが、実質的にはB社の指揮監督の下で労務を提供する立場にあったことから、B社がAさんに対してAさんが労務を提供する中で生命身体や性的自由等を侵害されないように必要な配慮をすべき義務(安全配慮義務、職場環境配慮義務)があったとして、代表者のCによるセクハラ・パワハラ行為についてB社の安全配慮義務違反を認め、B社の損害賠償責任を認めました。

 この事案のAさんのように取引先から指揮命令を受けて労務を提供する立場にいるフリーランスの方については、取引先が使用者と同じようにセクハラを防止し、さらにセクハラが生じた場合にきちんと対応する義務を負うことになります。企業においては、自社の従業員のみならず業務を委託しているフリーランスの方へのセクハラ・パワハラを防止する仕組みを整えることが求められます。

 もし、取引先からセクハラ(あるいはパワハラ)を受けた場合などは、このように取引先の責任が認められる場合がありますので、あきらめずに是非一度ご相談下さい。


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