ことのはぐさ

2023.09.01 弁護士 冨田真平|フリーランス保護法ができました


 今年の4月28日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆる「フリーランス保護法」が成立しました(なお「フリーランス保護新法」とも言われていますが、特に旧法に当たるものがないことから、ここでは「フリーランス保護法」と言います)。

 

1 この法律は、フリーランスで働く方について取引の適正化や就業環境の整備を図ることを目的としています。では具体的にどのような法律なのでしょうか。

 

(1)対象となる方

 対象となるフリーランスの方(条文上は「特定受託事業者」)は、業務委託の相手方である事業者で、①個人であって従業員を使用しないもの、②法人であって代表者以外に他の役員がおらずかつ従業員を使用しないもの、いずれかにあたるものとなっています。ですので、従業員がいない個人事業主や代表者だけの会社などが対象となっています。

 

(2)取引の適正化

 取引の適正化の規制としては、①給付(仕事)の内容・報酬の額等の書面での明示、②報酬の支払期日を給付を受領した(仕事が完了した)日から60日以内にすること、③フリーランスの方に帰責事由がないのに報酬を減額するなどの一定の行為を禁止することの3つが定められました。

 ①はいずれの事業者がフリーランスの方に仕事を頼む場合でも適用されますが、②③は従業員を使用する事業者がフリーランスの方に仕事を頼む場合にのみ適用されます。

 ③で具体的に禁止される行為は、

・フリーランスの方の帰責事由なく受領を拒否すること

・フリーランスの方の帰責事由なく報酬を減額すること

・フリーランスの方の帰責事由なく返品を行うこと

・通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること

・正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること

・自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること

・フリーランスの方の帰責事由なく内容を変更させ、又はやり直させること

になります。

 

(3)就業環境の整備

 フリーランスの方の就業環境の整備を図るための規制としては、フリーランスの方に業務委託をする(従業員を使用する)事業者に対し、①広告等により募集情報を提供するときの虚偽の表示の禁止、②フリーランスの方が育児介護等と両立して業務を行えるよう申出に応じて必要な配慮をすること、③フリーランスの方に対するハラスメント行為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じること、④継続的業務委託を中途解除する場合等に原則中途解除日等の30日前までに予告すること、などが義務づけられました。

 

2 フリーランスの方の保護としてまだまだ不十分な面もありますが、上記のように取引の適正化のための規制に加えて、ハラスメントや育児介護の観点からの規制もできたことにより、フリーランスの方の保護に一定活用できる内容となっております。

また、本年7月31日には厚生労働省がフリーランスや個人事業主を労働安全衛生法の対象に入れる方針を示し、今後の法制化が期待されます。 

 

3 フリーランスとして働く中でいろいろなトラブルに巻き込まれる方も少なくありません。そもそもフリーランスとして働く方の中には実質的には労働者であり労働基準法などで労働者として保護されるべき方もいます。

 取引先からの不当な扱いなどで悩まれる方がいらっしゃればぜひ一度弁護士にご相談ください。


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