登記名義が亡くなったご家族のままの場合、処分に困る場合があります。たとえば、Aさんは、実家の父が15年前に亡くなり、昨年の夏にAさんの母も亡くなりました。
Aさん、Aさんの弟・妹とも実家を出て所帯を持っており、空き家となった実家の土地・建物を売却する話が持ち上がっています。土地・建物の名義は亡父のままですが、このままで売却できるでしょうか。
亡父名義のままでは売却できず、相続人である誰かの名義に変更しなければ売却することはできません。
したがって、3名の相続人間で遺産分割協議をし、誰の名義にするのかを決め、相続登記をする必要があります。
名義変更後速やかに売却を考えているのであれば、売却代金を誰が取得するのかを念頭に置いて名義変更したほうがいいでしょう。
たとえば、Aさん一人の名義にして売却し、あとでその売却代金を弟や妹に分配すれば、贈与税の問題が生じるからです。なお、第三者に売却すれば、譲渡税がかかる場合があることにも留意が必要です。
なお、令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。正当な理由なく、相続登記を行わなかった場合、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となってしまいますので、早目に手続きしておくと安心です。