トラック運転手が、取引先の会社から運送業務の委託契約という名目で、荷物の運送を行っているような場合、その運転手が、その会社の他の従業員と同じような実態で働いている場合があります。そのトラック運転手が作業中に怪我をしてしまいまった。そのような場合、そのトラック運転手は、「労働契約ではなく委託契約」なので、労働者に当たらないとして、労災を受けることはできないのでしょうか?以下、その点について、考えてみたいと思います。
このトラック運転手が、労働基準法上の「労働者」にあたれば、労災保険法に基づき、各種の給付を受けられる可能性があります。
「労働者」に当たるかどうかは、契約の形式ではなく、客観的な実態から判断します。ですから、たとえ「業務委託契約」という名目であったとしても、労働実態から見て、「労働者」として認められる場合があります。
具体的には、①会社から仕事を依頼されたときに断る自由があるかどうか、②仕事を行うに当たってどの程度、会社の指揮命令を受けるのか、③勤務場所・勤務時間についてどの程度会社の拘束を受けるのか、④報酬が労務に対応するものか、それとも、仕事の成果に対応するものか⑤仕事について代替性があるかどうか(その仕事は他の人でもできるものか、その人でなければできないか)などから、「労働者」に当たるかどうかが判断されます。
ですから、相談をする際にも、以上のような労働実態を整理しておくことが大切です。