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ホーム 弁護士コラム 2026年掲載分 「模擬原爆投下」のことを知っていますか

弁護士コラム

COLUMN

弁護士 岩田研二郎
弁護士 岩田研二郎

2026.05.21

弁護士 岩田研二郎

「模擬原爆投下」のことを知っていますか

2026.05.21

弁護士 岩田研二郎

「模擬原爆投下」のことを知っていますか

 昨年(2025年)10月の自由法曹団総会で、茨城県の筑波山を訪れました。総会後の企画で茨城県の県民がつないできた平和活動を学ぼうと、自衛隊百里基地の拡張反対闘争の現場とともに、米軍による広島、長崎への原爆投下の投下訓練として行われた全国30都市、49発の模擬原爆の第一発目が落とされた北茨城の投下場所を案内してもらいました。

 

 米軍が原爆投下の訓練用に特別に開発した「模擬原爆」で、長崎に落とされたプルトニウム原爆(ファットマン)と同じ型、大きさ、重さで、中身がTNT火薬の約5トンの爆弾です。ずんぐりした型で黄色い色彩から「パンプキン」と呼ばれました。

 北茨城に落とされた最初の1発は1945年7月20日、広島への投下の17日前でした。広島、長崎への本物の原爆投下後も、8月14日(愛知県春日井市付近)まで投下を続けています。

投下された場所は、北は新潟、福島から、南は四国の宇和島までで、関西では、神戸、大阪、有田(和歌山)、敦賀、舞鶴、大津でした。この爆弾の爆発で、全国で1,600人以上の死傷者が出ました。

 大阪市では、7月26日午前9時26分、大阪市東住吉区田辺2-3(現在の田辺小学校北側)に爆弾が投下され、死者7人、重軽傷者73人、焼失倒壊戸数485戸、罹災者1645人と爆弾による被害が記録されています。

 

 北茨城の着弾地と推定される場所は太陽光パネルが並んで一般の人が立ち入れないために、約1.3キロ離れた地に模擬原爆と同じ形をした石碑「模擬原爆北茨城着弾地之碑」が建立されていました。

 模擬原爆の歴史を知った農業を営む野口友則さんと石材業を営む神永峰敬さんの2人が、2024年に縦0.9メートル、横1.8メートルの御影石に「民忘れるべからず」と平和への思いを刻んだものです。石碑には日本地図の上に49カ所の着弾地点と日付、死傷者数が記されていました。

 日本政府と軍部が始めた無謀な戦争のために、米軍の非人道的な兵器の実験場とされ、多くの市民が犠牲になった悲劇を二度と起こさない決意を伝えていくものでした。

 模擬原爆投下の存在が歴史の明るみにでたのは戦後46年たった平成3年(1991年)で、愛知県春日井市の市民グループが国会図書にあった米軍資料から模擬原爆の投下場所の一覧表や地図を見つけました。

 模擬原爆の事実を解明していくと人類最悪の兵器「原爆」がどのような意図で使用されたかが見えてきます。

 

 現在、ロシアのプーチン政権やアメリカのトランプ政権が脅しに使う核兵器ですが、その廃絶を世界で進めていくためにも、身近な戦争被害を伝えていくことが大切だなと感じる企画でした。

 

 

 

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