
裁判員裁判傍聴企画に取り組んで 弁護士 岩田研二郎
事務所の友の会の新企画として、「弁護士と傍聴する裁判員裁判」を10月に実施しました。夏に発行した友の会ニュースで案内したところ、30名を超える多数の応募があり、2回に分けて実施することになり、裁判員裁判など刑事裁判への関心が高いことがわかりました。
1回目に傍聴した裁判員裁判は、自宅のインクジェットプリンターで一万円札を両面コピーで印刷して作り、コンビニで使用したという通貨偽造、同行使詐欺の事件でした。
午前10時から起訴状朗読と冒頭陳述、書証取り調べがあったので、案内人の私が午前中も法廷傍聴をして事件の内容を把握しておいて、正午に弁護士会館に集合いただいた参加者18名に事件内容を説明したうえで、午後からの法廷を傍聴していただきました。
午後1時から、共犯者の証言、情状証人の家族、被告人質問と続き、傍聴するだけで事件の内容がわかるものでした。休廷時間が頻繁にあるので、その間にも、いろいろな質問にお答えしたり、終了後は、参加者から感想などもうかがいました。
傍聴したみなさんは、たいへん興味を持たれたようで、共犯者の証言や被告人の供述についての評価、手錠腰縄で入廷してくる被告人の姿への驚き、裁判員の仕事への緊張感などいろいろな感想が出ました。中には、「いつでも傍聴できるのですか」と関心を示す方もおられて、大阪地裁の正面玄関に置いてある「刑事開廷表」の見方を案内しました。
2回目は、暴力団組員による殺人未遂事件で、路上でゴルフクラブで殴り、折れたシャフトを腹に突き刺したという事件でした。傍聴人にも身体検査がなされ、たいへん緊張した裁判員法廷でした。最初の検察官と弁護人による冒頭陳述のやりとりだけでしたので、事件の心証をもつまでには至りませんでした。その後、裁判員裁判でない通常の単独裁判官による窃盗事件(元職場への侵入窃盗)と詐欺事件(携帯電話入手)を傍聴しました。翌日の裁判員の裁判にも参加してみるという方もおられ、みなさん、普段ドラマなどでみるものと違い、本物の刑事裁判に関心をもたれたようです。
量刑についても判断の対象とする現在の裁判員裁判の問題点などについても、問題意識をもっていただけたと思います。
できれば来年度も続けていきたいと思っています。

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