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ホーム 弁護士コラム 2017年掲載分 プロ野球観戦中のファウルボール事故~球団側に責任を認めた札幌高裁判決~

弁護士コラム

COLUMN

弁護士 坂田宗彦
弁護士 坂田宗彦

2017.02.17

弁護士 坂田宗彦

プロ野球観戦中のファウルボール事故~球団側に責任を認めた札幌高裁判決~

2017.02.17

弁護士 坂田宗彦

プロ野球観戦中のファウルボール事故~球団側に責任を認めた札幌高裁判決~

 2016年シーズンで日本一を勝ち取った日本ハムファイターズの本拠地は「札幌ドーム」です。平成22年8月、一塁側内野席で、親子で野球観戦していた母親に、ファウルボールが直撃し右眼球破裂という重大事故が起こりました。打たれたファウルボールが、内野席のフェンス(高さ2.9メートル)の上を越えて母親の顔面を直撃するまで2秒ほどといいますから鋭い打球でした。
 視力を失った母親は、球場の設備の欠陥や試合の主催者の落ち度を理由として損害賠償の訴訟を起こしました。一審の札幌地裁は、球場の設備が安全性を欠いていたとして約4195万円の損害賠償を命じました。その後、球団や球場側の控訴に対して、平成28年5月20日、札幌高裁が判決を言い渡しました。
 高裁判決は、まず、フェンスの高さなどの球場設備について安全性を欠いていたとは言えないと判断しました。元々プロ野球の球場での観戦には一定の危険生があり、観客をそれを承知でフェンスなどに遮られない臨場感を求めているという理由です。たしかに、大リーグ等の球場やプロ野球の最近の球場設備は、選手に近い目線で野球観戦が楽しめるように、フェンスを低くしたりする傾向がうかがわれます。被害者の席も、従来よりフェンスが低くされ、観戦の臨場感はあるもののファウルボールに対しては危険な席だったのです。なお、ホームランのよう滞空時間の長い打球は空気抵抗によって打球の速度が減殺されているため打球の持つ危険性は低くなります。
 一方で、高裁判決は、被害者が、保護者の同伴を前提として小学生を招待する企画に応じた母親であり、野球観戦に伴う危険生を十分承知していなかったことから、球団側に、観戦者にファウルボールの危険生を具体的に説明し、より安全な席への選択肢を用意するなどの安全配慮義務があるとしました。そして、球団側がその義務を果たしていないとしたのです。一方で、母親にも打球から目を離した過失があったとして2割の過失相殺による減額をし、結論として約3357万円の損害賠償を命じました。
 この判決の論法は、一方では野球観戦に慣れたファンは危険を承知で観戦すべしということです。その点で、結論の妥当性のバランスを取っています。
 楽しいスポーツ観戦が思いがけない事故にならないためのいくつかの指摘を含んだ判決として紹介します。

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