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ホーム 弁護士コラム 2018年掲載分 GPS捜査と監視型捜査

弁護士コラム

COLUMN

弁護士 岩田研二郎
弁護士 岩田研二郎

2018.05.31

弁護士 岩田研二郎

GPS捜査と監視型捜査

2018.05.31

弁護士 岩田研二郎

GPS捜査と監視型捜査

 GPS(全地球衛星測位システム、Global Positioning System)という位置情報探索システムのことは御存じでしょうか。GPS発信機から発信する電波で、衛星を使って、その発信機の正確な位置が探索でき、記録できるシステムのことです。一般の人でも、セコムなどの業者と契約すれば、かなり安価に使えるものです。お子さんや徘徊する認知症の高齢者に持たせてスマホで位置を検索して安全を確認したり、営業用車両に搭載して会社が車両の現在位置を確認する(記録もできる)など日常的にも利用されています。最近は、精度もあがり、数メートル差の位置まで特定できます。

 

 警察は、この民間のGPS位置情報サービスを利用して、連続窃盗犯などの犯罪捜査に利用してきました。例えば、連続窃盗犯罪が発生して、防犯カメラなどから容疑者の車両を特定し、その車両の底部等に、GPS発信機を無断で取り付け、スマホで車両の位置情報を探索しながら、その車両で再度窃盗犯罪を繰り返すところを追跡し、現行犯又は令状逮捕するという捜査方法です。しかし、裁判官の令状もとらずに無断で車両に取り付けることや取り付けのために敷地や駐車場に侵入したりすることへのやましさから、警察は、このGPS捜査で検挙に至ったことが露見しないように、捜査報告書などにも記録せずおこなってきました。

 

 これが露見して、裁判で違法収集証拠として争われるようになり、昨年3月、最高裁判所で、令状を取らないGPS捜査は、プライバシーを侵害する強制捜査であるものとして憲法違反として禁止されているとし、法律でGPS捜査の法律を作るよう判決しました。

 

 日弁連も、それを受けて、検討チームをつくって検討していますが、捜査機関の動きは遅いようです。おそらく立法化するとなると、少なくとも捜査対象者への事後通知は不可欠になるので、密行捜査としてはあまり使いようがないからでしょう。

 アメリカでは法律でGPS独自の令状要件が定められています。

令状発付から取り付けまでの期間は最大10日以内、捜査期間は原則45日以内とされ、捜査終了後の捜査対象者への通知義務も定められています。

 

 日本でも、防犯カメラ(無令状)、高速道路等のNシステム(警察による走行中の自動車のナンバープレートを自動的に読み取り、手配車両のナンバーと照合するシステム、無令状)、電話やメールの盗聴(令状)、携帯電話の位置情報捜査(令状)など監視型捜査が今後、増加していくと思われます。

 顔認証技術の向上も、街頭や公共的施設におけるプライバシー侵害を引き起こす危険もあり、捜査の必要と個人の人権の兼ね合いが今後も問題になっていくと思われます。

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