離婚して、妻が子どもの親権者となったけれども、子どもをほったらかしにするなど親としての責任を果たしているように見えない場合、親権者を変更することは可能なのか。また、親権の停止というものはどういう制度なのか、解説します。
離婚の際に未成年の子どもがいる場合には,父母の合意で親権者を定めることができます。一度決められた親権者の変更は、必ず家庭裁判所に調停・審判を申し立てる必要がありますが、親権変更は容易には認められません。親権者の変更が認められるのは、家庭裁判所が子どもの福祉、利益のために必要があると認めたときに限られます。それだけに、離婚の際の親権者の決定はとても大切なことなのです。
親権の変更が認められるのは、子どもの健全な成長を助けるようなものである必要があるので、現在の親権者が、病気等の事情で長期に渡って子どもの養育は出来なくなるなど子どもを養育する環境が著しく悪化した場合や、子どもの虐待やそれに類する事案の場合です。そのような親権の変更を相当とする事情があるかどうかを、家庭裁判所が調査します。
多くの場合、家庭裁判所の調査官が調査を行い、現状の養育の状態、養育の熱意、経済力、環境を検討し、年齢によっては子どもの意思などをも考慮して、親権者の変更が子どもの福祉と利益のために必要かどうかについて意見書を作成し、それを元に審判が下されます。
親権者が責任を果たすことなく養育する意思が認められない場合の親権停止の申し立ては、子ども自身、一方の親や親族、検察官、児童相談所の所長などが行います。家庭裁判所の審判手続きで、最長2年間(更新も可能)、あらかじめ期限を定めて親権を停止させることができます。これが親権停止の制度です。