ことのはぐさ

2021.05.09 弁護士 峯田和子|法律家としての情報提供とネット社会の闇


 最近は、すぐにインターネットで情報を検索でき、ある程度を調べることができてしまいます。法律事務所のHPや各種関連サイトも同様です。ただ、インターネットで書きたくても書けない情報というものもあるのです。

 

 弁護士としての実務経験を経てきますと、様々な事件に遭遇します。特に、複数の弁護士が在籍し、各人が町弁として様々な事件を受任しているような事務所の場合、弁護士の数だけ経験が蓄積していくでしょう。例えば、こうしたら差押えできた、こうするとDV被害を立証できた、残業代を立証するためにこういう作業をしているとうまくいった、被害者の安全を確保するためにこのような段取りを組むことが功を奏した等、法律の条文には書かれていないノウハウが蓄積していきます。そして、恐らく世の中には、同種の問題を抱えて困っていらっしゃる方もいるのではないかと思うと、弁護士としてはついついHPなどのネットになるべく詳しく情報を提供したくなるのです。「弁護士は何かと敷居が高い」などと言われてしまえばなおのこと。

 

 しかし、インターネットの世界では、必ずしもすべての人が良い目的で情報検索されているとは限りません。例えば、DV加害者や残業代の支払を免れたい人、債務執行免脱をもくろむ人などもネット検索により情報を得ています。そのため、詳細な情報をネット上に提供することは、逆に被害者の救済を阻んでしまうリスクを負います。そして、一旦、ネットに流出してしまった情報は回収不能です。簡単に紐付けされ、幾重にもコピーされて逆の意味で悪用されてしまうかもしれないのです。

 

 私はネット掲載される原稿を書く際、いつもこの両者の壁の板挟みになります。多くの良識ある法律家は、この問題を意識しているのではないでしょうか。今、ネットサーフィンをして法的解決策を調べようとされている方がいらっしゃいませんか。ネットは非常に便利なものですが、ネット上提供されるのはあくまでも、どちらサイドから見られても問題がないと思われる範囲に限られると思うべきです。ご自身の問題について、本当の意味で解決策を見いだされたい場合、やはり直接お問い合わせ頂きたいのです。直接ご相談頂きさえすれば、アドバイスできることも実は、沢山あるからです。


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