ことのはぐさ

2017.02.17 弁護士 冨田真平|ご存じですか?「特別縁故者」~相続人でない方も亡くなった方の財産を受け取れる場合があります~


 特別縁故者という制度をご存じですか?
 亡くなった方の内縁の夫や妻、事実上の養子、あるいは献身的に看護されてきた方。これらの方々は、法律が定めた相続人に当たらず、遺産を相続できないのが原則です。
 しかし、一定の場合には、これらの方々が亡くなった方の財産を受け取ることができることがあります。それが特別縁故者という制度です。今回はこの制度について、詳しくご説明します。
 遺産は、法律が定めた相続人が相続するのが原則です。そして、相続人がいない場合や相続人の方全員が相続放棄された場合などには、相続財産は最終的に国庫に帰属します。
 しかし、そのように相続する人がいない場合でも、家庭裁判所が「特別縁故者」にあたると認めれば、その方が遺産の全部ないし一部を受け取ることができます。
 では、どのような方が「特別縁故者」にあたるのでしょうか?
 法律では、
 ➀ 被相続人(亡くなった方のことです)と生計を同じくしていた者
 ➁ 被相続人の療養看護に努めた者
 ➂ ➀➁に準じて「特別の縁故があった」者
 がこれにあたるとされています。
 ➀は、内縁の夫や妻、事実上の養子が典型例です。例えば、長年事実上の夫婦として生活し、被相続人の借金を返済した方や、被相続人に幼児の頃に引き取られ、30年以上事実上の養子として共同生活を営んでいた方などが、これに当たると認められた例があります。
 ➁は、被相続人と生計を同じくしていなかった親族や知人などでとくに被相続人の療養看護に尽くした方が考えられます。例えば、被相続人の近所に居住し、再三病気で寝込んでいた被相続人のために洗濯や食事の世話をし、また被相続人が入院をした際には、退院後1週間ぐらい自宅に引き取って面倒を見るなどした人について、これに当たると認められた例があります。
 また、看護師などで、正当な報酬を受け取っている場合でも、肉親に近い愛情の伴っている献身的サービスをした場合など特別な事情がある場合には、認められた例があります。
 ➂は、裁判例によると、①②に準ずる程度に「被相続人との間に具体的かつ現実的な精神的・物質的に密接な交渉のあつた者で、相続財産をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に特別の関係にあつた者」であるとされています。具体的には、被相続人の従兄弟の子で被相続人の夫が亡くなった後、唯一の頼りになる身寄りとして、様々な相談事にのり、被相続人の葬儀を行っていた者について、これに当たると認められた例があります。
 特別縁故者として実際に分与を受けるためには、家庭裁判所に申立手続きをする必要があります。特別縁故者に当たるかもとしれないと思った方は一度弁護士にご相談ください。


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