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ことのはぐさ

2017.09.26 弁護士 峯田和子|専ら節税目的で行われた養子縁組の有効性


 相続税は遺産の中から基礎控除額を差し引いた残金に対して課税されてきます。この基礎控除は相続人の数によって金額が変わるのですが、養子も相続人ですので、養子縁組によって基礎控除額を増やせる場合があります。では、専ら節税を目的として基礎控除額を上げるために養子縁組を結んだ場合、そのような養子縁組は有効と言えるでしょうか。この点、従前から下級審の裁判例はあったのですが、この度、始めて最高裁は判決を出しましたのでご紹介します(平成29年1月31日判決)。


 民法802条1号は「当事者間に縁組みをする意思がないとき」、養子縁組は無効になると規定しています。養子縁組は嫡出親子関係を創設する合意ですが、最高裁は専ら相続税法上の基礎控除をあげる目的で養子縁組をしたとしても、その動機と嫡出親子関係を創出するという意思は併存しうるので、専ら節税目的で養子縁組したとしても直ちに縁組みを無効とすることはできないとしました。


 この事案は、妻を亡くしたAが税理士のすすめで、Aの孫(Aの子であるBの子)との間で養子縁組をしたのに対して、Aの他の子どもCDが養子縁組の無効を訴えた事案でした。孫との養子縁組では、Aと孫の親であるB夫婦が親権者として署名捺印し、Aの弟夫婦が証人として届け出用紙に署名押印していました。本来、Aの相続人はBCDだけであったのですが、更にBの子が相続人に加わったことになります。


 最高裁は、細かい事実の認定をしていないものの、本件では節税目的の縁組みでも直ちに「当事者間に縁組みをする意思がない」(民法802条1号)ということはできないとして、CDの請求を棄却しています。この判例を前提とすると、専ら節税目的であったというだけでは,養子縁組の効果を否定することは難しいと言わざるを得ません。養子縁組の届け出が親子関係の創出ではなく、別の目的を達成するための便法として利用された過ぎないと言えるような具体的な事実を、養子縁組の無効を主張する側で、積極的に主張立証する必要があると思われます。


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