ことのはぐさ

2019.02.26 弁護士 小林保夫|レオパレスの施工不良・違法建築をめぐる責任問題~サブリース方式の落とし穴~


 不動産大手「レオパレス21」が建てた賃貸住宅(アパート)をめぐる施工不良・違法建築問題は、全国33都府県所在の324棟の住宅にわたり、被害は、1万4000人を越える入居者、住宅を所有する100人を越えるオーナーに及んでおり、入居者については補修のための転居や補償、オーナーの損害の回復など重大な社会問題になっています。

  レオパレスのビジネスモデルは、一般にサブリース方式といわれるもので、土地所有者にみずからの資金でアパートを建ててもらい、レオパレスがその建築を請け負い、完成後は同社が一括して借り上げ、入居者の募集、賃料の管理、建物の維持管理などを行い、オーナーには一定の家賃収入を長期間保証するという内容です。ちなみに、「サブリース」は、直訳では「転貸」という意味です。サブリース方式とは、レオパレスがオーナーから賃借し、入居者に転貸する点をとらえたものです。

  さて、サブリース方式は、アパート経営に慣れないオーナーには、一定の家賃収入が保証され、他方経営にともなう面倒をすべて避けることが出来るなど、いいことずくめに見えますが、実際には、建築代金、建物の材質、賃料額や取り分の決定、解約などをめぐって、多くの落とし穴が待っています。
  果たして、このたびのレオパレスをめぐる事件は、これらの落とし穴がすべて露呈したものです。
  オーナーにとっては、法外な建築代金、粗悪な建築資材による手抜き工事、賃料収入の保証の破綻、借地借家法に基づくオーナーからの解約の困難など多くの点で深刻重大な不利益を生じています。これらの点についてのレオパレスの法律上の責任は明確ですが、レオパレスの経営破綻は必至であり、損害の賠償を求めることはきわめて厳しい状況にあるようです。
  また、入居者にとっては、施工不良・違法建築にともなう補修の必要から、なんら正当な理由(借地借家法第28条)のない退去・転居を求められ、この退去・転居にともなう不利益についての補償も確実ではありません。

  それでは、レオパレスの施工不良・違法建築をとらえることが出来なかった地方自治体や国の責任(国家賠償法)はどうでしょうか。
  レオパレスが、建築確認について責任を負う自治体に対しては、法律の定める届出をし、実際には届出と異なる施工をしていた、また施工当初と完成後の点検をも巧みに免れたとなると、自治体や国はこの点を口実に責任の回避を試みるでしょうし、裁判所の判断にも必ずしも期待が持てません。

   しかし、レオパレスや自治体・国の責任を追及する法律家の取り組みが始まっています。必要なみなさんは、当法律事務所あるいは弁護士会や司法書士会に問い合わせることをお勧めします。


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