きづがわ瓦版

ことのはぐさ

2019.07.03 弁護士 増田 尚|ハンセン病家族訴訟で勝訴判決


   ハンセン病回復者の家族561名が国に対し隔離政策によって差別偏見を受ける地位に置かれたり、家族関係の形成を阻害されたりする被害を受けたとして、慰謝料等550万円の賠償を求めていたハンセン病家族訴訟で、熊本地裁(遠藤浩太郎裁判長)は、6月28日、隔離政策によって家族に対しても被害を与えたとして、行政及び立法の不作為の違法を認め、原告1人当たり33万円から143万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
 判決は、国は、隔離政策等によって、ハンセン病を発症した人のみならず、その家族に対しても、人格権や婚姻の自由を侵害した違憲、違法があるとして、遅くとも、昭和35年までには、隔離政策等を改廃すべきであったのに、これをしなかった不作為の違法があり、また、平成8年にらい予防法を廃止した以降も、より高い偏見差別を除去すべき義務を負っていたにもかかわらず、これを怠った過失があるとして、厚生及び厚生労働大臣、法務大臣、文部及び文部科学大臣の責任を認めました。さらに、立法不作為も認めました。
 国の責任を認めさせたのは、何よりも、原告一人一人が陳述書によって自らの被害をとりまとめ、また、29名の原告本人尋問によって、どれだけ辛い人生を送ってきたか、家族の存在を隠し、周囲に嘘をつき続けて、自らを偽らざるを得ない日々を過ごしてきたのか、愛する家族を恨んでしまうような苦しみを味わってきたのかを裁判官の面前で語ったことにより、裁判所に思いを届けることができたからだと思います。国の政策による憲法違反の人権侵害を認めさせ、とりわけ、差別偏見を受けたことについて国の責任を認めたという点で、判決は画期的な意義を有しているといえます。
 家族訴訟弁護団は、声明https://www.dropbox.com/s/fa2i25k4kq5ul0t/190628seimei.pdf?dl=0を発表して、判決の積極的意義を評価し、政府、国会に対して、判決で指摘された責任を果たし、家族に対する謝罪と相当な賠償・補償をさせ、偏見差別を除去する相応の措置をとらせる等の政策転換を図ることを求めていきます。そのためには、国に控訴をさせず、判決を確定させなければなりません。
 つきましては、内閣総理大臣、厚生労働大臣、法務大臣、文部科学大臣に対し、控訴断念を要請してください。弁護団ウェブサイトhttps://hansen-kazoku-sosyou.jimdo.com/から、要請書をダウンロードしてファクスをしていただくか、ウェブフォームやメールによりオンラインで控訴断念を要請する意見を発信してください。控訴期限の7月12日まで、控訴断念を求める声を集中していただきますよう、よろしくお願いします。


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