ことのはぐさ

2020.05.19 弁護士 横山精一|雇用調整助成金の特例措置について


(雇用調整助成金とは)
 労働基準法26条は、「使用者の責めに帰すべき事由」による休業の場合に、使用者が休業手当として平均賃金の60%以上を支払わなければならない旨を定めています。
 この規定にいう「使用者の責めに帰すべき事由」は、不可抗力による場合を除き、「使用者側に起因する経営、管理上の障害を含む」と解されています。
 新型コロナウィルスの感染拡大を防止することを目的に、多くの人が集まる施設を休業をさせることはやむを得ないことであり、会社には責任はないようにも思われます。
 しかし、このような場合でも、不可抗力による場合を除き、会社は、従業員に休業手当を支払わなければならない可能性が高いと思われます。
 使用者が、このような支払いができないと判断し、従業員を解雇したり、会社が倒産することも考えられます。
 雇用調整助成金は、不景気などにより、企業に悪影響があった場合に、企業側が行った休業などの措置に対して助成金を支給することにより、従業員の雇止めや解雇を防ぐことを目的としています。

 

(新型コロナウィルスによる特例措置とは)
 今回の特例措置は、新型コロナウィルスの影響により業績が悪化したなどの理由により、事業主が休業手当を支給して従業員を休ませた場合に、従来の助成に加え、更に、その費用の一部を政府が助成するものです。
 元々の政府の助成率は中小企業は2/3、大企業は1/2です。しかし、新型コロナ特例措置により、中小企業4/5、大企業3/2の助成がされることになりました。
 解雇を伴わない場合には、中小企業9/10、大企業3/4の助成率になります。 
更に、2020年4月25日に、更に助成率が拡充されることになりました。
 ①休業手当支払率60%を超える部分の助成率が100%になりました。
 ②以下の条件を満たすと、休業手当全体の助成率が100%になります。
 自治体からの休業要請を受けた中小企業が、解雇等を行わず雇用を維持している場合、以下の2つの条件を満たすと、全額の100%の助成がされます。
ア 労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っていること。
イ 上限額(8330円)以上の休業手当を支払っていること。

 

(特例措置でも不十分な点)
 しかし、この特例措置でも、前述の通り、助成金の上限額が1日8330円となっており、これを超える部分については、助成がありません。そのため、日額上限を引き上げを求める声が出ており、これは、当然の要求です。

 この声を受け、安倍首相は5月14日の会見で、現在1人あたり8330円である日額上限を1万5000円に引き上げると表明しました。
 今後、政府がこの方針を実現することが求められています。


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