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ホーム 弁護士コラム 2014年掲載分 学費が払えない―教育を受ける権利はどこに

弁護士コラム

COLUMN

2014.04.16

学費が払えない―教育を受ける権利はどこに

2014.04.16

学費が払えない―教育を受ける権利はどこに

 このところ、たて続けに高校の授業料を親御さんが払えず、奨学金を借りたが本人が成人になって返還期が到来したのに返済できないといったケースに関わりました。


 一件目は、他の借金も多かったために破産の手続をとりました。債務が超過し、支払い不能と判断されれば破産宣告がなされ、ギャンブル破産などを別にすれば、引き続いて責任を免ずる、免責決定を得て、授業料を立て替えてもらった借金を支払わなくて済みます(但し、本人が免責になれば連帯保証人の親に請求がいくので家族としては苦しいことではあります)。
 しかし、これは日本の話です。アメリカでは免責されないというのです。私は「ルポ貧困大国アメリカⅡ」(岩波新書・堤未果著)でこのことを初めて知りました。日本でも税金は免責の対象になりませんが、アメリカでは税金と一緒だというのです。教育は自己責任でというアメリカの発想は国民の貧困化の中で教育を受ける権利を侵害します。

 

 二件目は、奨学金借入の保証をした人からの一件です。奨学金借金の主たる債務者は生徒(学生)本人です。親が連帯保証人となりますが、債権者の日本学生支援機構は更に、第三者の保証人の差し入れを求めます。調べると返済期が到来するも返済しないため遅延損害金がどんどん発生していました。その後主たる債務者は弁済を始めますが、支払は遅延損害金から充当となります。そのため主たる債務額を超えて弁済しているにもかかわらず、元本額は全く減らないばかりか、元本と同額の遅延損害金が残っていました。何故、こんなことになるのでしょうか。遅延損害金の率が極めて高い年10%になるからです。現在銀行の定期預金の金利は0.03%が通例ですから、300倍なのです(主たる債務者は支払い猶予という制度を知らなかったようです)。保証人は主たる債務者が支払わなければ、これを支払わなければなりません。 貸与型の奨学金の利用は、第1に高校以上の授業料を支払えなければ退学となる、第2に高校卒業は人生の最低のパスポート扱いがされていることから、親の収入が苦しくなるとこれを利用するのが普通となっています。
 しかし、いざ職業人となる就活は厳しく、就職できても非正規雇用で収入が不安定で少なければ、日々の生活に追われて返済まで届かないことが多くなっています。今政府は非正規雇用を更に拡大する方針をとっており、更に事態を深刻化させることは必至です。


 こんな状態をなくすことは出来ないのでしょうか。

 それはあるのです。

   第一に、子どもの権利条約(1994年日本批准)第28条は中等教育について無償教育の導入の漸進的導入を規定しています。又、国際人権規約社会権規約13条2項b・cは中等教育・高等教育の無償の漸進的無償化をうたっており、日本政府はいままでこの条項の批准を留保していましたが、これをやっと一昨年(2012年)に撤回しました。だからやるべきことはこの条約を具体的に法律化することです。
 日本政府は高校の授業料・大学の授業料までも子どもたちに漸進的に無償にすることを自ら義務づけたのです(フランスやドイツでは大学の授業料までも無償化を実現しています)から、立法化の義務があるのです。
にもかかわらず、2010年に立法化のなった高校等授業料無償化法を逆に2013年に廃止したのです(所得制限のある新制度)。このデタラメぶりには唖然とします。多くの反対の声を押し切って廃止してしまったのです。
 法律は条約の下位に位置づけられますから、条約の目指す方向と反する法律は本来は制定できないはずです。
 しかし、今授業料無償問題だけでなく、そもそも国際人権条約に反する法律を作る国会の多数決の横暴がまかり通っています。
 私たち弁護士は出来上がった法律を適用するだけでなく、この視点をはっきり持ち法律改正運動を常に取り組まなければ、本当に国民に寄り添う弁護士にはなれないことを肝に銘じています。

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