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ことのはぐさ

2022.10.24 弁護士 冨田真平|シフトカットと賃金請求


 現在シフト制で働く労働者の方がたくさんいますが、コロナ禍において、シフトを週4日から週1日から減らされた、あるいはシフトに入れてもらえなくなった、という相談が相次ぎました。

このような場合に減らされたシフト分の賃金を請求することができるのでしょうか?

 この点について、ポイントとなるのは、①週●日・週●時間(たとえば週4日、週30時間など)という就業日数・時間が労働契約の内容になっているといえるか、②シフトを減らされた理由が何かという点です。

 

①「週●日、週●時間」などの就業時間・日数が労働契約の内容になっているといえる場合

 「週●日、週●時間」などの就業時間・日数が労働契約の内容になっている場合には、この就業時間・日数を減らすということは、減らした部分について休業を命じていることになります。例えば週3日という就業日数が労働契約の内容になっている場合、これを週1日に減らすということは減らした週2日分について休業を命じていることになります。

 そうすると、会社がこのように休業を命じたことについて、民法536条2項の使用者の「責めに帰すべき事由」があると認められれば、会社に10割の賃金を支払う義務があり、また労働基準法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」があると認められれば、会社に賃金の6割以上の休業手当を支払う義務があります。これらの「責めに帰すべき事由」が認められるかは、会社側がどのような理由でシフトを減らしたか(会社側の方でシフトを減らしたことについて正当化する理由があるか)などによります。

 では、肝心の「週●日、週●時間」などの就業時間・日数が労働契約の内容になっているといえるかというところですが、これについて、手がかりとなるのは①採用経過(求人票や面接の時のやりとりなど)、②契約書の記載(「週●日」と明記されているなど)、③就労実態(それまでずっと週●日で働いていたなど)、④使用者の言動(週●日の約束をしていた、週3日を前提とする発言をするなど)などです。特に大事なのは③就労実態になります。

 この点、雇用契約書・労働条件通知書に「週5日程度」と記載のあった事案で週4日の勤務実態等を踏まえ、当事者の合理的意思解釈として週4日の勤務日数が労働契約の内容になっていると認定した裁判例(ホームケア事件・横浜地判令和2年3月26日労判1236号91頁)や、雇用契約書に記載がなくても個別のLINE等のやり取りから、勤務日及び勤務時間を具体的に合意していたことを認めた裁判例(医療法人社団新拓会事件・東京地判令和3年12月21日労判1266号44頁)があります。

 

②就業時間・日数が労働契約の内容になっているといえない場合

 「週●日、週●時間」などの就業時間・日数が労働契約の内容になっているといえない場合でも、合理的な理由無く今までのシフトを大幅に減少したときには、シフト決定権限の濫用として、賃金請求や(週●日で働けるという労働者の期待権を侵害したものとして)損害賠償請求ができる可能性もあります。

 この点、合理的な理由なくシフトを大幅に削減したことについて、シフトの決定権限の濫用であり違法であるとして、減らされたシフト分の賃金請求を認めた裁判例があります(シルバーハート事件・東京地判令和2年11月25日労判1245号27頁)。

 

 実際に賃金請求や損害賠償請求ができるかは個々の事案の内容によりますので、あきらめずにまずは弁護士に相談して下さい。


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