きづがわ瓦版

ことのはぐさ

2013.06.24 弁護士 古本剛之| エベレスト雑感


 三浦雄一郎氏が80歳でエベレストに登頂し、世界最高齢登頂の記録を作りました。すごいことです。 エベレストは、いわずと知れた世界最高峰、山登りをする者としては、多かれ少なかれあこがれを抱く山です。
 エベレストが1953年に初登頂されてから60年、エベレストは今や観光地化しているとも言われます。危険箇所には固定ロープが張られ、公募登山隊と呼ばれる一種のツアー登山が多くなっているようです。登山技術だけを考えれば、雪山の初級バリエーションルートに登れるぐらいの技術があれば、登頂可能なように思われます。
 ただ、あくまでそれは登山技術だけのことであって、8848メートルの高所に至るには、様々なハードルがあります。ルート判断や天候判断はとても重要な要素ですが、公募登山隊であればガイドさんが判断してくれるので、これはクリア可能です(他人の判断に命を預けることになりますが)。 公募登山隊でもどうにもならないものに(個人がどうしても身につけておく必要があること)、体力と、高所順応があります。標高8000メートルにおいては、気圧は地表のおよそ3分の1、酸素も3分の1になります。かつては、人間が生身でそこに立つことは不可能とも言われたこともある高度です。地表に暮らし全く高度順応していない人間を「どこでもドア」でいきなりエベレストの山頂に連れていった場合、数秒で意識を失い昏睡状態に陥るといわれています。 三浦雄一郎氏は、私的に低酸素室を用意してトレーニングをされているそうです。そんな物を持っていない人は、高山に繰り返し登ることで訓練する他ありません。 また、たとえ訓練を積んでも、いざ本番で高所順応できるかは、個人差もある上、人によってもその時のコンディションによって違いが出てきます。前回8000メートルまで登って平気だった人が6000メートルで高山病で倒れてしまうこともあるのです。このため、「ロシアンルーレット」だとも言われます。体力がある方が有利ではありますが、体力があれば必ずしも大丈夫なわけではありません。 大変なトレーニングを積んだ上に、運も兼ね添えた人でないと行けない過酷な場所なのです。
 エベレストの初登頂について、公式記録上は1953年にエドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイが初登頂を果たしました。「公式記録上」と断ったのは、実は本当は初登頂ではない可能性があるからです。エベレストを語るにおいて、忘れてはならないと私が勝手に考えている人物に、ジョージ・マロリーという人がいます。「そこに山があるからだ」という台詞を残したとされている人物です(この台詞は少々ずれた形で伝わっている上に、本人の言葉かどうか怪しむ声もあるようですが)。 ジョージ・マロリーは、エドモンド・ヒラリーの登頂に先駆ける1921年から1924年までの間に3度にわたってエベレスト登頂に挑み、3度目にアーヴィンとともに最終キャンプから山頂を目指して出発した後消息を絶ち、遭難死しました。彼の遺体は長いこと見つかりませんでしたが、1933年に一緒に山頂に向かったアーヴィンのピッケルが見つかり、1999年にはマロリーの遺体も発見されました。どちらも、最終キャンプと山頂までの間で見つかっています。 マロリーの遭難について、1つの謎が残されています。果たしてマロリーは、山頂に向かう途中で遭難したのか?山頂に立った後、下山中に遭難したのか?後者であれば、最初にエベレストの頂に立った人類は、マロリー(とアーヴィン)ということになります。マロリーの遺体が発見された時、この謎が解けるのではないかという期待が生じました。マロリーは山頂にカメラを持っていっており、そのカメラのフィルムに山頂で撮った写真が写っていれば、マロリーの登頂が証明されるのです。しかし、マロリーの遺体の所持品からは、カメラは見つかりませんでした。このため、初登頂の謎は謎のまま残されました。 カメラはアーヴィンが持っているのかも知れません。そしてアーヴィンは未だ、人知れずエベレストのどこかに眠っています。


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