きづがわ瓦版

ことのはぐさ

2012.07.12 弁護士 横山精一| 「離婚に伴う財産分与 オーバーローンとなっている自宅について」


 この間、大阪家庭裁判所で、この問題に関する意義深い審判(裁判所の判断)をいただきましたので、それをもとにして、自宅に関する財産分与について報告します。尚、ご本人のプライバシーの関係上、事実関係については、実際とは異なる内容になっています。
 離婚の際に、夫婦で形成してきた財産をどのようにして分けるかが重要な問題となります。これを「財産分与」と言います。離婚が成立した場合は、夫婦の一 方から他方に対して財産分与の請求ができ、協議が整なわない場合には、家庭裁判所に決めてもらうことができます。これを「審判」と言います。審判の請求 は、離婚してから2年を経過するとできなくなりますので、注意を要します。
 この財産分与の中で、従来の自宅についてどのように分与するのかというのが、今回のテーマです。


 結婚後、夫の名前で、住宅ローンを組み、住宅を購入した。そして、住宅ローンを払い終わらない時点で、離婚が成立しました。その際、自宅は、オーバー ローン状態となっていました。オーバーローンというのは、その時点での住宅の価値よりも住宅ローンの残額の方が多い状態をいいます。たとえば、自宅が 1000万円で売れるとして、住宅ローンが2000万円残っている場合、自宅を売った代金1000万円は、住宅ローンの債権者で抵当権者でもある銀行に支 払われます。夫婦には一銭のお金も入らない形になります。このような場合に、そもそも、自宅は財産分与の対象となるのかが問題となります。この例で言えば 差し引き1000万円という借金が残るだけで、そもそも財産分与の「財産」にあたらないのではないかというのです。実際、私が担当したケースでも、裁判官 は、当初、そのような見解を述べていました。


 確かに、経済的な価値からすれば、分けるべき財産価値がないどころかマイナスになっているのですから、このような見解があることは、ある意味では、当然 でしょう。しかし、自宅の価値は、経済的なものだけで測ることはできません。その家で、子どもが生まれ、学校に通うようになり、様々な人間関係が形成され る。それが、親の離婚によって、自宅から引越をしなければならなくなる。賃貸住宅で、隣近所の事を気にしながら、生活しなければならない。場合によれば、 子どもは転校を余儀なくされるかもしれない。従来の自宅で生活し続ける権利は、お金には換えられない大切なものです。
 このような観点から、私のケースでは、元妻の側が住宅ローンを支払うことを条件として、従来の自宅に子どもたちとともに住めるようにしてほしい、そし て、住宅ローンを完済した場合にはその自宅を元妻の名義にしてほしいという請求をしました。そして、最終的には、家庭裁判所も、私たちの請求を認めてくれ ました。


 財産分与については、まだまだ、経済的価値の有無で判断されることが多いと思います。私の経験したケースが、自宅での生活を望む人の役に立てば幸いです。


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