きづがわ瓦版

ことのはぐさ

2012.06.18 弁護士 坂田宗彦| ある遺産分割事件


 遺産の分割で話がつかない場合には、家庭裁判所で解決を図ることとなります。相続人から家庭裁判所へ遺産分割の調停を申し立て、裁判所の調停委員のもとで、争いのある点を整理して円満な解決を探ります。調停には強制力はないものの裁判所が関与する手続であり、多くの事件はこの調停の段階で当事者が譲り合うなどして解決します。しかし、調停でも解決することが出来ない場合には、審判の手続きに移ります。審判の手続きは、調停とちがって強制的に解決を図る手 続きで、裁判官(審判官と言います)が当事者から事情を聴取したうえで、具体的な遺産分割を命じるつ審判を下します。裁判所の審判内容にに不服がある当事者は高等裁判所に抗告をすることとなります。
 最近、私の担当した遺産分割事件は、調停、審判、抗告と手続きのフルコースを経て解決しました。この事件は、いくつかの相続不動産が収益物件であったり、他の親族との共有関係にあったりするなど複雑な権利関係にあり、その不動産を、招来、争いを残さないように、どのように分割するのか最大の争点でした。一人の相続人に不動産を相続させて他の相続人には代償金を支払う分割(これを代償分割と言います)を求めた当方と、あくまで現物の不動産の共有による分割を求めた相手方との争いでした。当方の提案する解決策は、近時、不動産の共有関係の解消に積極的な最高裁判例の動向にも沿う内容であり、適切なものと思っていましたが、なんどか調停の期日を重ねたものの話がつかず、結局、審判に移行しました。審判手続きに現れた家事審判官(裁判官のことです)は、当事者に若干質問した程度であっさりと審理を終えました。そして、2ヶ月先に審判を下しますとしましたので、当方のそれまでの書面による主張や資料を踏まえて、当方の要求に沿った審判が下されるものと期待していました。
 ところが、2ヶ月たっても審判は下されず、何度か問い合わせをするなかで、さらに半年ほど経過してようやく審判書が交付されたのですが、その審判書は驚くべきものでした。審判は、最大の争点であった不動産の分割については、競売にかけて売却しその代金を相続人で分配せよと命じましたが、そんなことは相手方も含めてして当事者の誰もが望んでいませんでした。裁判所がそんな突飛な分割方法を命じた理由は、不動産の価格がそれで公正に評価されるということでし たが、もともと、不動産の評価は、役所の固定資産評価によることが手続きの中で合意されていたのですから、裁判所の判断は記録も見ずになされたものと言わざるを得ません。審判は、その他の争点についても、おかしな判断をしており、まさに我が目を疑うというものでした。
 当方は、当然、この審判の取り消しを求めて高等裁判所に抗告をしました。抗告審では数回の審理をして決定が下されましたが、決定内容は元の審判を全部取り消され、当方の提案通りの分割を命じるものでした。
 振り返ってみれば、遅れた挙げ句に誤った審判によって1年近い時間が無駄となったこととなります。審判を下した裁判官は多くの事件を抱えて多忙であったのでしょうが、それにしても、あまりにもずさんな判断で、こんなことがあるのかとの思いは今も消えません。


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