「ロシアハウス」
1990年アメリカ
主演 ショーン・コネリー、ミシェル・ファイファー
原作 ジョン・ル・カレ
舞台となるのは、東西冷戦が終局に向かいつつあるが、まだ完全には終わってはいない、ソビエト連邦もまだ健在の時代です。
ショーン・コネリー主演のスパイ映画。とは言っても、ジェームズ・ボンドのようなアクションはありません。ショーン・コネリー扮する主人公ブレアは、小さな出版社を経営するイギリス人です。個人的にロシアが好きで、何度も訪問しており、モスクワでブックフェアを開催します。そこに、秘密のノートが届けられます。ノートには、ソビエト連邦の核ミサイルに関する詳細な記載があり、それが英国情報部MI6の手に渡ったために、ブレアはスパイの容疑をかけられてしまいます。
スパイとしての容疑は晴れるものの、ノートを書いた人物に接触してその意図や内容の真偽を確かめるために、ブレアはにわか仕立てのスパイとなって、ソビエト連邦に送り込まれることになります。
本来、国家のために働く、などといった趣向はないブレアですが、ノートを持参した女性カーチャ(ミシェル・ファイファー)の写真を一目見て気になった彼は、スパイとなることに応じたのです。
素人スパイをしながらカーチャに迫ろうとするブレア。スパイも恋も不器用で、ジェームズ・ボンドとは真逆です。
彼の周りでは、CIAが乗り出してきて、MI6は隅に追いやられた格好に。ことは大きくなっていき、やがてKGBにも気付かれてしまい危機が迫るのですが、最後に彼が執った手段は……。
当時では珍しい、ソビエトでのロケが話題にもなりました。美しい風景ともの悲しいBGMが魅せてくれます。ロシアというと「冬の国」の印象があって、もの悲しいイメージが合う気がします
主人公ブレアは、「国家の利益」などはどうでもいいように思っている節があり、愛した女性とその家族を守ることを優先します。その心情が、終盤での台詞に込められています。「You are my only country now.」(今は君だけが僕の祖国だ)
難点としては、話がかなり複雑なことでしょうか。私の周りでは、1回観ただけで全てを理解できた人はいませんでした。
2回目、3回目を観ることで、「ああ、ここはこういうことだったんだ」と気付く点もありました。
最近は、映画を2倍速などで観る人もいるようですが、それで理解することは非常に困難でしょう。ゆっくりと観て、雰囲気に浸って下さい。ただ、ぼうっとしていると、ストーリーにおいて行かれてしまうのですが…。