遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。
公正証書遺言の場合、遺言者が亡くなれば、公正証書遺言の内容を実現するための手続きを始めることが可能です。
他方、自筆証書遺言の場合、自筆証書遺言書を保管している人は、遺言者が亡くなったことを知った後、遅れることなく、遺言書を家庭裁判所に提出して、遺言書の検認を請求しなければなりません(民法1004条)。そして、封印のある遺言書は、相続人またはその代理人の立ち会いのもとに家庭裁判所で開封しなければならないとされています。
遺言書の内容を実現するための相続の手続は、検認がなされた後に行われることになります。
なお、検認を怠ったり、封印のある遺言書を家庭裁判所以外で開封した場合は5万円以下の過料に処せられます(民法1005条)。
検認は、遺言書の偽造などを防ぎ、遺言書を確実に保存するための手続、つまり、証拠を保全するための手続です。ですから、検認がされたとしても、遺言書が有効であることが認められたことにはなりません。遺言書の有効性に争いがある場合には、別途、裁判により決着がつくことになります。
ちなみに、2020年(令和2年)7月10日、法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)が施行され、自筆証書遺言の法務局保管制度が始まりました。この制度を利用した自筆証書遺言書については検認手続きは不要です(遺言書保管法11条)。