建物を賃借している場合の修繕を巡って争いが生じることがあります。
家主には、借家人が契約に従って建物を利用できるように配慮する義務があるため、建物が傷んで借家人に不都合な状態が生じてきた場合、家主が修繕義務を負うのが原則です。
建物の基礎、屋根、壁、柱など建物の基本構造に関わる部分の修繕義務が家主にあることは概ね争いがありません。建物の老朽化が激しく、修繕をするために極端に高額の費用がかかるような特別な事情でもない限り、家主に対し修繕を求めることができます。
家主に修繕を求めたにもかかわらず、家主が応じてくれず、やむなく借家人の費用負担で行った場合には、借家人は、後日、その修繕費用を家主に請求することができます。
ちなみに、建物の基本構造に関する修繕ではなく、電球や蛍光管の交換、蛇口のパッキンの交換その他費用が軽微な小修繕については、借家人が家主の同意を得ることなく行うことができ、その場合の費用は借家人が負担すると定められることが多いと思われます。