このような相談が時々あります。
「数十年前に借りてそのまま放置していた貸金業者から債権譲渡を受けたとして、○○債権回収を名乗る業者から、督促状が届きました。遅延損害金が上乗せされて、びっくりするような金額になっています。」
このような場合、慌てて業者に電話をする前に、弁護士にご相談ください。
まず、支払わなくなった日(分割金の返済を怠った日)の翌日から5年(個人の貸金業者の場合は10年。また、2020年4月1日以降に発生した債務については、個人かどうかを問わず5年)が経過していれば、時効になっていますので、「援用」の通知をすれば、債務は消滅します。業者の中には、慌てて連絡をとった債務者に対して、一部を弁済させたりして、「援用」をできなくさせるところもありますので注意が必要です。もっとも、このような業者の対応の対応は問題であるとして、一部弁済をした場合であっても、時効の「援用」をすることが信義則に反しないと解した裁判例もありますので、弁護士にご相談ください。
また、時効になる前や、時効になった後でも、こちらが時効を「援用」しないまま、判決が出されていた場合は、時効が「更新」されてしまい、判決が確定した日から10年が経過しないと、時効によって消滅しません。督促状に、判決が出ていることが記載されている場合は、ほんとうに判決があったのかどうかを裁判所に問い合わせる必要があります。
なお、貸金業者から債権を譲り受けて取立てをすることができるのは、登録貸金業者か許可を受けた債権回収業者(サービサー)でなければできません。貸金業の登録の有無は金融庁で、サービサーの許可の有無は法務省で、それぞれ確認できます。貸金業の登録もなく、サービサーの許可も受けていない業者からの取立ては、それ自体違法で犯罪です。このような違法業者の中には、宅配業者を偽装して、不在連絡票を投函し、それを見て電話をかけてきて、携帯電話番号を入手し、取立てに悪用している者もいます。見知らぬ宅配業者のハガキにはお気をつけください。
時効の援用の通知は、弁護士にご相談ください。時効になっているかどうかを確認し、取立業者(通知の相手方)に応じた対策をご助言できます。また、債務が残っている場合の債務整理の手段についても、収入、資産に照らして、対応を検討します。