けがの治療を継続して、これ以上よくも悪くもならない状態になったことを「症状固定」といいますが、症状固定と診断されれば、後遺障害の程度に応じて、後遺障害による損害(逸失利益及び後遺障害慰謝料)の賠償を受けることができます。
自動車交通事故の場合には、自賠責保険制度が整備されており、損害保険料率算出機構が後遺障害等級認定を行っています。医師が作成した後遺障害診断書を示談交渉中の任意保険会社を通じて、損害保険料率算出機構に提出する場合(事前認定)もあれば、被害者が直接、自賠責保険の会社を通じて請求をして認定を求める場合(被害者請求)もあります。いずれの場合でも、後遺障害等級の認定に応じて、所定の額の逸失利益及び慰謝料等が支払われます。
非該当になったり、認定された等級に不服があれば、保険会社を通じて異議申立てをすることができます。その場合、新たな医師の意見書や資料をつけて異議理由を書き提出することになります。
自賠責保険によっても補償されない損害がある場合には、任意保険会社と示談交渉し、あるいは、裁判等の法的手続によって、その賠償を求めることになりますが、裁判になった場合、裁判所は独自に後遺障害を認定します。裁判所は、後遺障害認定を参考にはしますが、必ずしもその判断に拘束されないという建前になっています。裁判所が行った後遺障害等級の判断に不服がある場合は、上訴して上級裁判所での判断を求めることになります。