遺産の分割は相続人間での協議により行うことができますが、協議が調わない場合、家庭裁判所に、遺産分割調停を申し立てて、調停委員の仲介を経て、当事者の話し合いにより、分割の方法を決定することになります。
遺産分割調停でも話し合いがつかない場合には、審判手続に移行します。審判とは、当事者間の話し合いではなく、裁判官に遺産分割の判断をしてもらう手続です。裁判官は、相続人から事情を聴取しつつ、「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して」(民法906条)、審判により分割方法を定めます。
審判に不服がある当事者は、高等裁判所に即時抗告をすることができます。高等裁判所の決定に不服がある当事者は、さらに、許可抗告・特別抗告をすることができますが、許可抗告・特別抗告をしたとしても、高等裁判所の決定がなされた時点で、分割内容について効力は生じますので、その内容にしたがった分割を止めることはできませんし、許可抗告・特別抗告が認められることはほとんどありません。