1 遺言執行者とは
民法は、遺言執行者は、遺言の内容を実現するための一切の権利義務をもつと定めています(民法1012条)。
2 遺言執行者を選任する方法
遺言執行者を選任する方法は、以下の3つです。通常は、遺言書の中に指定をしていることが多いと思われます。
(1)遺言者が遺言書で遺言執行者を指定する場合
(2)遺言者が遺言書で遺言執行者の指定を第三者に委託した場合でその第三者が遺言執行者を指定した場合
(3)遺言執行者がいない場合に、利害関係者の請求により家庭裁判所が選任する場合
なお、(1)として遺言執行者を指定していた場合でも、遺言者より先に遺言執行者が亡くなっていた場合は、(3)として家庭裁判所に選任してもらうことになります。
3 遺言執行者への就任
遺言執行者に指定された場合、後述の通り、いろいろなことを行う必要があり責任も発生します。指定をされた人は、必ず遺言執行者になる必要があるわけではなく、就任を拒否することもできます。その場合には、就任を拒否することを相続人に通知することになります。
4 遺言執行者の職務と責任
遺言執行者は、遺言の実現に必要な一切の行為を行う権利を有し義務を負います。民法は、遺言執行者になることを承諾したときには、直ちにその任務を行わなければならないとしています(民法1007条)。そこで、就任直後に行わなければならないことを説明します。
遺言執行者は、就任後直ちに以下の3つのことをする必要があります。
(1)遺言執行者に就任することを相続人に通知する。
(2)財産目録を遅滞なく作成し、相続人に交付する。
(3)(1)(2)の前提として、戸籍を取り寄せて誰が相続人であるかを確定する。
就任直後に以上の手続を行い、その後は、遺言を実現する様々な行為をすることができ、義務づけられています。不動産の相続登記、預金の解約等行うことは広範に及びます。
ですから、遺言執行者の仕事は広範に及ぶため、就任するかどうかはよく検討する必要があります。就任した場合にも、弁護士などのアドバイスを受けることをおすすめしますし、専門性の高い事務が求められてような部分については、遺言執行者の職務の一部をご自身の費用で、弁護士に委任して、職務を代行してもらうことも考えられます。