ことのはぐさ

2024.05.10 弁護士 青木佳史|家賃の減額を求めるには


 家賃が高く、家主に減額を求めたい場合、どのような手順を踏めばいいかお話しします。

 まず、家主との間で、こちらの事情を話したり、近隣の家賃の相場も参考にして、家賃の減額ができないか打診して、話し合いをしてみましょう。話し合いでは応じてもらえない場合には、正式に、翌月分からの家賃減額を求める意思を表示するために、文書で家主に申し入れをします。後に争いにならないよう、内容証明郵便によるのが無難です。

 それでも家主が応じてくれない場合、すぐに裁判を起こすことはできず、まずは、管轄の簡易裁判所に家賃減額を求める調停を申し立てる必要があります。

 調停を申立てると、通常は2名の調停委員(うち1名は不動産鑑定士の資格を持った委員が担当してくれることもあります)が、家主と借主を双方から事情を聞き、互いに譲り合って解決できるかどうかの調整が試みられます。調停委員が専門的知見から参考になる助言をしてくれることもあります。それによって、双方が歩み寄り、希望どおりではないとしても、減額に合意する調停が成立すれば、それで解決です。

 調停では話し合いがまとまらず不調に終わった場合、借主が原告となって、家賃減額の裁判を起こすことになります。その場合には、減額が認められる根拠となる資料や意見を証拠として提出しなければなりません。そのためには、不動産鑑定士への鑑定費用なども必要となりますので、訴訟した場合の見込みを含めて、弁護士によく相談することをお勧めします。

 ところで、借主から家賃減額したい意思を表示をしただけでは、当然に家賃が減額になるわけではありません。あくまでも双方の合意が必要です。ですから、借主が一方的に減額した家賃を支払った場合には、家賃の一部が未払いであると解釈されますので、それが重なると、家賃不払いにより賃貸借契約を解除されることがありますので、ご注意ください。話し合いの合意や判決が出るまでは、従前どおりの家賃を支払いながら、上記のような手順を踏んでいくことが必要です。

 なお、減額が認められた場合、支払額と決定額との差額及び差額について支払時から年1割の利息の返還を求めることができます(借地借家法第32条第3項)。


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