こんな相談がありました。深夜、帰宅したところ、自宅の鍵を紛失したことに気づきました。困り果てて、スマホで鍵を開けてくれる業者を検索し、料金「○千円~」と表示されている業者に連絡をして依頼をしました。作業が終わるや6万円の料金を請求されて驚きました。支払わなければならないのでしょうか。
このようなトラブルが増えており、このような場合、納得できる金額であれば支払う意思を示した上で、その場では支払わないときっぱり断ることです。それに対して業者が威圧してくるようなことがあれば警察に連絡することも考えましょう。また、料金を支払ってしまった後でも、特定商取引法の訪問販売によるクーリング・オフ等が適用できる可能性があります。こちらから電話をして自宅に来てもらったのだから、クーリングオフの適用除外になるのではとの疑問に対しては、消費者庁が、きちんとクーリング・オフの適用があることをホームページでも明らかにしています。
詳しく説明しますと、特定商取引法第26条第6項第1号の規定によるクーリング・オフ適用除外について、同号の「請求した者」とは、購入者が契約の申込み又は締結をする意思をあらかじめ有し、その住居において当該契約の申込み又は締結を行いたい旨の明確な意思表示をした場合が該当します。
しかし、今回の事態は、ネットでの表示の料金「○千円~」と実際に請求された額に大きな開きがあります。消費者は、当初電話で修理依頼をした段階では、ネットの表示額程度の料金での契約しか考えていなかったのですから、高額の契約の申込み又は締結を行いたい旨の明確な意思表示をしたといえません。従って、クーリング・オフ適用除外となる「請求した者」とはいえないのです。
国民生活センターや内閣府の消費者委員会も、いわゆる「レスキュー商法」(インターネットのリスティング広告で検索の上位になるようにして、インターネット広告では安価にうたっておきながら、不当に高額の代金を請求するなど、消費者の「困った」につけ込む手口)について注意喚起をしています。業界団体でも、こうした悪質事業者の見分け方を紹介していますが、その一つに、実店舗を有しているかどうかを挙げています。悪質事業者は、インターネット広告で集客をして、電話はコールセンター対応をしていますので、摘発を免れるために、サイトをころころ変えていますが、まともな事業者であれば、店舗をそう頻繁に移転するわけにもいきませんので、悪い評判が立たないよう、きちんと対応しているといえます。
もしトラブルにあったときは、消費者ホットライン「188」に電話をしてご相談ください。
ことのはぐさ

2025.09.25 弁護士 坂田宗彦|鍵の○○