昨今の物価高や高齢などのために、事業や会社を続けられず、残念ながら自己破産を検討される相談が最近増えています。
自己破産を考えられる場合に、いくつか気を付けるべき点があります。
1 債務の整理
まずは、債務についてしっかり整理してみて、返済が不可能かどうか、じっくり検討してみましょう。資金、収支の状況を
よく検討して、返済不能となれば、自己破産に進むことになります。
2 売掛金の回収
自己破産をすると決めた場合、基本的には取引は停止しますが、会社(事業)の整理のためや自己破産のために、売掛金に
ついて回収してその費用に充てることはできます。但し、回収したお金の使途は明確に記録し、領収書等を残しておきましょ
う。
3 債務の返済
自己破産を実際に始める段階においては、債務の返済を止めることになりますが、その際は、全ての債権者についての支払
を止めなくてはいけません。一部の債権者だけに返済をすると、「偏頗弁済」といって、後に問題となることがあります。
但し、従業員への給与の場合は、優先的に弁済を受けることが認められているので、支払うことができます。
債権者からの請求については、弁護士に依頼して、弁護士からの受任通知を債権者に送ることによって、債権者からの請求
を止めることになります。
4 財産、在庫の処分
会社(事業)を整理するために、財産や在庫を処分していこうと思われるかもしれません。適正価格以上で処分し、その資
金を破産の費用などに充てることは可能です。但し、「不当に安く処分した」場合は、後に問題になりますし、得られた資金
の使い道が問題になることもありますので、気を付けないといけません。弁護士に相談しながら行うことをお勧めします。
5 破産費用の確保
自己破産をするためには、弁護士の費用、裁判所へ納める予納金などが必要になります。会社(事業)の規模によって変わ
りますが、60~200万円程度を確保しておくことをお勧めします。
ごく小さな個人事業の場合は、また異なってきますので、具体的なことは弁護士にご相談ください。
6 保証人
会社(事業)の借入について、家族や知人が保証人になっていることがあると思います。この場合、主債務者が破産をして
も保証人の債務は消えませんので、ご注意ください。対策について検討する必要があります。
7 帳簿などの会計資料の保管
破産手続においては、会社(事業)の会計処理については明確にする必要があります。帳簿などの会計資料については、し
っかり保管しておいてください。
自己破産を巡っては様々な問題がありうるため、ご不明な点があれば、お気軽に当事務所にご相談ください。




