きづがわ瓦版

ことのはぐさ

2011.08.06 弁護士 井上洋子 | B型肝炎訴訟が果たした役割


 B型肝炎訴訟とは、生後から6歳までになされた集団予防接種の際、注射器の消毒が十分になされなかったためにB型肝炎ウィルスに感染してしまった人が、 国に対して、損害の賠償を求めている訴訟です。昭和23年7月2日から昭和63年1月27日までになされた集団予防接種においては国が注射器の使い回しを黙認していたため感染被害が生じたのです。

 B型肝炎ウィルスのキャリアとなると、突然に肝がんを発症する危険がありますし、慢性肝炎を発症し、肝硬変、肝がん、死亡と階段を上がるように病気が進行するなど、深刻な被害が発生します。被害者は、病気の不安や症状に苦しむだけでなく、出産を通じて子どもに感染させてしまった痛恨、結婚や出産を制限する苦悩、十分に働けないために生じる経済的困難など、その人生は苦渋に満ちたものになります。感染症に関する教育や理解が不十分なため、周囲から不当に差別される方も多くおられます。

 この問題についてはすでに平成元年に5人の被害者が国を相手に裁判をし、平成18年までかかって最高裁判所で国の賠償責任を認める判決を勝ち取りました。しかし、厚生労働省はこの5人以外の被害者や国民に対しては知らぬ顔をし、国によって感染が生じたことの公表や救済など何もしようとしません でした。

 そこで、知らぬ顔はさせまじ、と平成20年から全国10地裁で700名を越える原告が裁判を起こし、街頭でこの問題を説明し、署名を集め、集会を開き、マスコミに訴えかけ、地方議会には陳情し、国会議員の1人1人を訪問して理解と協力を求めました。

 その結果、平成23年6月28日、提訴後3年たってようやく、全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団と細川厚生労働大臣との間で、基本合意書が取り交わされ、菅内閣総理大臣による謝罪がなされるに至りました。国にこの問題を広く認めさせたのです。

 この基本合意により、裁判をしている原告だけでなく、まだ裁判をしていない被害者であっても、一定の書類を集めて裁判を提起すれば一定の賠償金を得られることが決まりました。全国にたくさんおられるであろう埋もれた被害者にも救済の途が開かれたのです。

 しかし、残念ながら一定の書類が集められず、救済ルートからはずれてしまう肝炎患者の方も多くおられます。ウィルスに感染したのが自分の責任ではなく、病の苦しみも共通であるにもかかわらず、です。それゆえ、原告団・弁護団は、今後は、厚生労働省との協議やいろいろな活動を通じて、B型肝炎患 者全体の治療態勢の改善などに力を注ぎたいと思っています。今後ともご支援お願い申し上げます。

B型肝炎訴訟に関する相談窓口
B型肝炎訴訟弁護団ホームページ http://bkanenosaka.web.infoseek.co.jp/
ファックス 06-6647-0302
相談用電話 06-6647-0300(月から金の10時から17時)


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