ことのはぐさ

2011.08.06 弁護士 森信雄 | ドキュメンタリー映画「100,000年後の安全」


 原子力発電の過程で生じることが避けられない放射性廃棄物。

 発電の相当割合を原発に依存しているフィンランドは、地下500メートルの場所に放射性廃棄物を埋蔵する最終処分場を作り、一定量を埋蔵した後封印することとした。現在建設中で、完成は22世紀になるという壮大な国家的プロジェクト(オンカロ・プロジェクト)である。

 放射性廃棄物の無害化に要すると想定した時間は約10万年。封印後、未来の人類が誤って掘り返すことのないよう、どうすればこの場所の危険性を理解してもらえるかが真剣に議論される。今の言語は通用しなくなっているかも知れないから、標識は絵柄で表示したほうがいいという意見。かえって何も設置しなければ忘れ去られて誰も掘り返しはしないという意見。

 福島原発事故により、原発の危険性は極めて大きく、一旦被害が発生すれば、時間的、空間的、社会的に制御できないことが明らかになった。

 電力各社を含む財界は今後も原発をエネルギー政策の中核と位置づけようとしているが、彼らに、この映画で描かれているような未来の世代に対する確固たる責任感と莫大なコストに対する覚悟があるとは思われない。

 私自身、「安全神話」に踊らされ、原発に対しさほど疑問を抱いたことはなかった。しかし、これからはそれではすまされない。自ら学び、考え、エネルギー政策について定見を持つべき時代になったのである。


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