ことのはぐさ

2007.06.11 弁護士 峯田和子 | 薬害C型肝炎事件の解決と肝炎患者の抜本的救済に向けて


 2006年6月21日に大阪、同年8月30日に福岡、本年3月23日に東京と、ここのところ、薬害C型肝炎に関する地裁判決が相次いでいます。全国5地裁で訴訟を展開してきましたが、更に本年7月に名古屋地裁判決が予定されており、その後の仙台地裁の判断を残すのみです。
  本件の問題製剤は、日本で1998年3月にやっと先天性疾患に適用限定されましたが、1977年12月の時点で既にアメリカで承認が取り消され、製薬会社 も翌年1月にはその事実を認識していたものです。国はそれ以前の申請段階でも極めて杜撰な検査のみで問題製薬を承認しており、国及び製薬会社には、およそ薬の安全性確保への認識が欠如していたと言わざるを得ません。これまでになされた判決では、時期にこそ違いはあるものの、いずれも国及び製薬会社の責任を認めています。そして、弁護団としてはこの問題について、国及び製薬会社の責任が否定される余地はまずあり得ないと考えています。
  ところが、日本は血液行政の遅れから世界的にも肝炎患者が多く、国及び製薬会社は、C型肝炎問題解決の必要性を十分認識しながら、その圧倒的な数を前に、これまでのいずれの判決に対しても控訴し、争う姿勢を崩していません。他方で、野党各党は判決後速やかに検討部会を設けるなど、この問題の解決に向けて国としての対応を検討し始めてきました。
  そこで、原告団は本年3月23日の東京地裁判決を受け、同月28日から厚生労働省前にて命をかけた座り込み行動と展開し、遂に同月29日公明党より「疾病 に苦しむ患者・家族の一刻も早い救済のため、薬害肝炎問題の全面解決に向けた政治的決断を行うこと」を含む肝炎問題の全面解決申入書を出させ、政府与党内 に検討部会を立ち上げさせることができました。本年6月末を目処に国としての救済策案が示される見通し
です。
  C型肝炎ウィルスは極めてゆっくりと肝臓を浸食していくため、患者が感染に気づいた時点では既にカルテ等問題製薬の使用を証明する資料が廃棄されていることが多く、薬害C型肝炎問題では、沢山の人たちが原告として権利救済を求められないでいるという実態があります。原告団は、このように原告になれなかった C型肝炎患者のためにも、より広く恒久対策の実施を求めており、それをより実効的なものにできるかが今後の焦点と言えます。そのためにも、皆さんには今後も署名活動などでご協力を願いするかも知れません。そして、訴訟及び政府・製薬会社の動向に注目していただきたいと思います。


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